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鮮やかな赤色が印象的な根菜「ビーツ」。砂糖の原料になるテンサイ(ビート)の仲間で、北海道内で生産がじわりと広がっています。
ビーツ生産広がる 奇跡の野菜、アスリートフードの称号 天然着色料にもなるマルチ食品
糖度しっかり、手間も少なめ

サムリブ高岡の利用者と職員が収穫したビーツ
10月中旬、石狩市内の石狩川北岸の丘陵地にある0.4ヘクタールの畑で、ビーツの収穫
が行われていました。NPO法人サムリブが運営する障害者自立支援施設「サムリブ高岡」
が栽培を手掛け、施設の利用者と職員が大きく実った赤紫色のビーツ約6千株を次々と掘
り出していました。今年から生産を2倍に増やしたそうです。サムリブの藤岡登理事長は
「今年は天候に恵まれ育ちがよかった。ビートの仲間だけあって糖度も高い」と話します。
ビーツの生産は道内で少しずつ広がっています。北海道農産振興課によると道内の作付面積は、記録がある2020年度の2ヘクタールから、22年度には6ヘクタールに増えました。主に石狩市や帯広市、上川管内愛別町、後志管内真狩村で作られています。農家にとっては作業にかかる手間が比較的少なく、他の野菜の成長も妨げないという特徴があるそうです。
サラダ、肉巻き、カツレツ…食べ方多彩

自慢のビーツを紹介する杉原店長

フーズバラエティすぎはらに並ぶ3種類のビーツと加工食品
道内でのビーツ栽培の広がりとともに、扱う品種も増え、改良も進んでいます。アク抜
きなしで食べられる品種もあり、杉原店長は「最近の品種はヨーロッパで作っているビー
ツと変わらないレベル。逆に北海道の風土に合っておいしくできている」と語ります。
美肌効果、生活習慣病予防にも

ビーツの消費拡大を目指し、大学サークル「あかビートLabo」
を通じて活動する松川准教授
松川准教授はビーツの成分研究の傍ら、ビーツの消費拡大を目指し、大学サークル「あかビートLabo(ラボ)」を通じて学生とレシピを考えたり、料理を作って子ども食堂に提供したりしています。また、道内の大学教員らと「赤ビート研究会」を設立して商品開発にも取り組んでいます。
農薬の少なさが足かせに
法律に基づき、作物ごとに使える農薬が決められています。農薬を道など公的機関に登録するには、研究機関などでの実証試験期間も含めて3年以上必要です。ホクレンはビーツ用の除草剤を新たに農薬として登録すべく、動いています。登録されれば雑草に栄養をとられたり、虫が寄ってきたりすることを防げるので、まとまった規模の生産がしやすくなり、収量もアップすると期待されています。
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