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なまらあちこち北海道|日本ハム、ドラフト1位に矢沢宏太選手

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本日実施されたプロ野球ドラフト会議で、日本ハムファイターズは日本体育大学の矢沢宏太選手を指名しました。

その指名の裏側にある者は何だったのでしょうか?

日本ハムから1位指名され、笑顔をみせる日体大の矢沢宏太選手=10月20日午後5時30分、神奈川県横浜市の日本体育大学

日本ハムから1位指名され、笑顔をみせる日体大の矢沢宏太選手=10月20日午後5時30分、神奈川県横浜市の日本体育大学

20日に行われたプロ野球ドラフト会議で日本ハムからドラフト1位指名を受けた日体大の矢沢宏太選手。投打の「二刀流」として注目を集める逸材がプロ入りを果たすまでには、亡き父に誓った約束と伸ばし続けた「勘違いの才能」がありました。

2018年の藤嶺藤沢高(神奈川)3年時にもプロ志望届けを提出していた矢沢選手でしたが、どこからも声はかからず指名漏れを経験しました。

その2カ月後に訃報が届きました。父・明夫さんが心臓発作でこの世を去ったのです(享年59歳)。亡くなったことについて、矢沢選手は今も「あまり実感が持てていない」と話しています。

ただ、亡くなった後に聞いたのは、明夫さんが矢沢選手が掲載された雑誌や新聞の記事を集め、会社に持っていって周囲に見せていたということでした。
「自分のドラフトに期待している部分があった。4年後こそはと気持ちが強くなった」と、大学進学後はただのプロ入りではなくて、ドラフト1位での指名を目標に定めました。

「指名漏れを経験して、走塁も守備も、バッティングもピッチングも全て成長するんだという気持ちでやってきた」。日本ハムが投打の二刀流を期待して指名したことが4年間の集大成となったのです。

投打二刀流として挑戦を続ける矢沢選手にとって、支えてきた言葉があります。

 「勘違いの才能を持て」

小学校時代に所属していた町田リトルでコーチが野球ノートに書いてくれたものです。矢沢選手は「プロ野球選手になりたいんだったら、自分がプロ野球選手になれると思って、練習しろと。自分がなりたいなら、自分が勘違いしてでも思ってやり続けるということ」と理解したのです。

173センチの小柄な体格で
「周りの人からはおまえなんか無理だよ、体小さいし」
と言われることも多々ありました。

二刀流についても、これまで数え切れないぐらいどちらかに絞った方がいいと言われ続けてきたといいます。それでも「本当に『どっちもやれる』と自分の中では思ってここまでやってきました。周りの人には『どっちかに絞った方がいいんじゃないの』とたくさん言われたけど自分の中では『勘違い』してやってこれたので、今があると思っています」。自分自身を信じ、諦めることなく努力し続けて、つかんだプロ入りです。

4年越しにプロ入りの夢をつかんだ矢沢選手。父には「お墓参りをして良い報告をしたい」。恩返しを胸に新たなスタートを切りました。

日ハム、ドラフト1位なぜ公表? 矢沢選手への思いアピール

 Q どの球団が誰を公表したのでしょうか。

 A 北海道日本ハムは投打の「二刀流」で活躍する日体大の矢沢宏太選手(22)、広島は苫小牧中央高の斉藤優汰投手(18)、巨人は香川・高松商高の浅野翔吾外野手(17)、ソフトバンクは愛知・誉高のイヒネ・イツア内野手(18)、西武は早大の蛭間拓哉外野手(22)、オリックスは白鴎大の曽谷龍平投手(21)。昨年は2球団(ソフトバンク、西武)だけでした。

 Q ドラフト会議の仕組みを教えてください。

 A 日本野球機構(NPB)が年1度開催しています。12球団が希望選手(各球団最大10人)を指名し、入団交渉権を獲得するための会議です。指名対象選手はNPBの新人選手選択会議規約に定められています。日本の中学、高校、大学などに在籍経験がある選手らで、女子の指名も可能です。サッカーJリーグやバスケットボールBリーグは、原則自由競争で選手と契約します。上位リーグと下位リーグの昇降格制度がある「弱肉強食」の競技では、ドラフトのように戦力均衡を目的とする制度は導入しづらい側面があります。

 Q プロ野球ドラフトの手順は。

 A 1位は指名が重複すれば、抽選で1球団が交渉権を得ます。2位以下は各球団が順番に指名し、その選手との交渉権を得ます。指名が12球団で120人に達しない場合、希望球団は育成ドラフトに参加します。1軍戦に出場できる支配下枠(各球団70人)以外で選手を獲得する制度です。

 Q 事前公表の目的は何でしょうか。

 A 他球団をけん制して重複を少なくする狙いがあります。今年は全体的に有力選手が少なく、競合して抽選を外した時のリスクが大きいとされます。

また、あるベテランスカウトは「球団の方針や選手への熱い思いを選手や世間にアピールできる」とも言います。日本ハムは近年だと2012年に大谷翔平選手(現米大リーグ・エンゼルス)、19年に佐々木朗希投手(現ロッテ)、20年に伊藤大海投手(現日本ハム)の1位指名を事前に発表しています。

今年は、プロでの「二刀流」継続に強い意欲を示す矢沢選手の成長を後押ししようと指名を決めました。大谷選手を「二刀流」として育てた球団の自負がにじんだ決断です。

矢沢選手の活躍に期待します。

(参考:北海道新聞電子版)

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