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2025年のプロ野球シーズンが始まりました。その3か月前、北海道日本ハムファイターズの本拠地、北広島市のエスコンフィールドで、バスケットボールB1レバンガ北海道の試合が行われました。野球場ではじめてのBリーグ公式戦開催。そのきっかけを作ったのはファイターズでした。
野球場でバスケの理由 ファイターズが目指すスポーツの新しいカタチ

初回放送:2025年3月29日 ←クリックするとダイジェスト版が見られます。
次回放送:2025年4月6日午後10:55 総合(北海道向け)
種目の枠を超えたスポーツ体験
2024年12月28-29日のエスコンフィールドには、普段とは違う景色が広がっていました。ホームベースからマウンドにかけて内野エリアに臨時のバスケットボールコートが登場、スタンドにはレバンガのチームカラー緑色の観客たちの熱気。外野席の芝生の上には、あちこちに用意されたカウチでゆっくり寝そべったり、キャッチボールをしながら、大型スクリーン越しに試合の行方を見守る人たちがいました。

このBリーグ史上初めての「野球場での公式戦」はファイターズの提案で始まりました。
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 三谷仁志 常務取締役
「われわれはクロススポーツと呼んでいますが、スポーツの種目を越えたかけあわせをやっています。今回はバスケットボールと野球場のかけあわせです」
三谷さんの言う「クロススポーツ」とは、既成概念を取り払い、種目の垣根を超えた新しいスポーツ体験を提供すること。ヒントになった2008年1月1日にニューヨークで行われたNHLの公式戦について教えてくれました。
それは、アメリカンフットボールのスタジアムを会場に開催したアイスホッケーの公式戦でした。当時の写真を見ると、真冬の寒さのスタンドを埋め尽くした7万人の熱気が伝わってきます。
三谷さん
「こんなことを考える人がいるんだという衝撃がありました。われわれも そうしたことにチャレンジしたい、エスコンフィールドでバスケットボールをしようと思いました」
野球場でウインタースポーツ!?
エスコンフィールドのまわりでは、この冬、ウインタースポーツの体験の場ができました。池を凍らせて作ったアイスリンクでは、スケート、アイスホッケー、カーリングに触れることができ、敷地内の丘には、スキーコースが設置されました。
2月下旬にスキーコースを訪ねると、長崎県からやってきた小学生が、初めてのスキーに挑戦していました。その様子をスマホで撮影していたお父さんに聞くと、北海道旅行中とのことでした。

息子さんとエスコンフィールドにやってきたお父さん
「わたしは球場を見たくてきたんですけど、息子の方はこのあとスキー場に行くのでその練習なんです」
4月から中学生になる息子さんは、インストラクターの指導を受けて、1時間後には斜面を一人で滑っていました。野球場でスキーができることについて聞きました。
スキー初挑戦の小学6年生
「いろんなスポーツを体験する、いいきっかけになるのではないかと思います。スキーは難しいなあと思っていたんですけど、だんだんできるようになってうれしくなってきました」
やらない理由よりできる方法
2024年9月のまだ暑い茨城県に集まった関係者たちの映像があります。
野球場でバスケットボールをするには、マウンドがあって平らではないフィールドにコートを作らなければなりません。映像では、かさあげした台座を組み、その上に床をのせて、反発力を測っていました。公式戦を行うためのレギュレーションにそった会場を作れるかの実証試験の様子でした。

映像には、Bリーグの幹部、ファイターズの三谷さん、そして
レバンガの経営責任者、横田陽さんの姿もありました。
レバンガ北海道 横田陽経営責任者
「野球場には床もありませんし、ゴールもありませんし、やらない理由は山ほどあるじゃないですか。どうやったらできるか考えようよという発想をファイターズさんがお持ちだったんです」
2日で3万5000人が「クロススポーツ体験」
Bリーグ史上初の野球場での公式戦は、初日の12月28日の観客が過去最多の19,462人、2日目も1万5,113人がやってきました。
試合を観戦したファンにこの「特別な体験」について聞きました。
「普段のアリーナとはまた違った広い空間がすごく新鮮でした」
「なんかいろいろ楽しくて、バスケ以外にも楽しくて」
なかには、初めてバスケットボールの試合を観戦した人も。
「ファイターズの試合は、よくみにきています。はじめてバスケを見たんですけど、すごく楽しめてファンになりました」

ファイターズは、クロススポーツのその先に何を目指すのでしょうか。
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 三谷仁志 常務取締役
「バスケットボール以外のスポーツも、エスコンフィールドを舞台にぜひやっていきたいです。お互いのファン基盤の拡大にもつながっていくと思います。
施設がどこどこの何の競技用にできているという考え方を一旦忘れて、次なるスポーツをどうプロデュースできるのか考えることのほうが、みんなにとって、ハッピーなのではないかと思います」
(参考:NHK北海道ニュース)
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