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なまらあちこち北海道|ガムを越えた人気、グミ・津別町

グルメ

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グミってこんなに人気があるんですね。しかも道内で生産されていたなんて、全く知りませんでした。再認識です。

売り場にずらりグミ ガムを越えた人気 道東のメーカーにも注文殺到<北の食☆トレンド>

 口寂しいとき、ついつい口に運んでしまうお菓子、グミの市場規模が拡大しています。多種多様な食感と写真映えする形がSNS(交流サイト)で話題になり、2021年には販売金額がチューインガムを上回りました。量販店の店頭にはずらりと多様なグミが並び、オホーツク管内のグミ製造企業には対応できないほど注文が殺到していました。
お菓子売り場にずらりと並んだグミ=3月31日、MEGAドン・キホーテ札幌狸小路本店

お菓子売り場にずらりと並んだグミ、MEGAドン・キホーテ札幌狸小路本店

 札幌市中央区のディスカウント店「MEGAドン・キホーテ札幌狸小路本店」のお菓子売り場には、国内外のメーカーのグミがずらりと並んでいました。その数なんと約80種類。固いハード系のグミから、口に入れた瞬間、果汁があふれる軟らかいグミまで、幅広い食感の商品がそろい、クリームソーダ味やプリンアラモード味といった変わり種の商品も置いてありました。
多種多様な味と食感のグミが製造、販売されている

多種多様な味と食感のグミが製造、販売されている

 店にグミブームが到来したのは2年ほど前からだそうです。SNSでグミの色や形のほか、かんだときに「シャリシャリ」「ムニムニ」といった変わった音が鳴ることを楽しむ動画が出回ると、若者を中心に購入者が増加しました。さらに昨秋、新型コロナ禍による入国制限が緩和されたのを機に売り場を拡張すると、外国人観光客がこぞってグミを買い求めるようになりました。
地球の形をしたグミなど、SNSでバズったユニークな見た目の外国産グミも人気の立役者だ

地球の形をしたグミなど、SNSでバズったユニークな見た目の外国産グミも人気の立役者だ

 MEGAドン・キホーテ札幌狸小路本店でグミ売り場を担当する石野晃靖さんは「最近は若年層だけでなく、親子連れや孫のためといってグミを買い求める年配の方も増え、お客さまの年齢層が広がっています。売り場面積はガムの12倍も広いんですよ」と話します。

販売金額、5年前より40%増大

 ちょっと前まで、口寂しいときのお供といえばガムが主流でしたが、どうやらその座はグミに取って代わられつつあるようです。全国の小売店の販売データを分析するインテージ(東京)が調査したグミとチューインガムの販売金額を調べると、ここ5年で、両者の立場はすっかり入れ替わっていました。
 2017年にチューインガムの販売金額が823億円あったのに対し、グミは555億円にとどまっていました。ところが、22年になるとチューインガム市場が5年前の3分の2ほどに縮小したのに対し、グミ市場は40%以上拡大しています。
 インテージによると「グミは味だけでなく、さまざまな食感の商品が作れます。また、ガムのようなゴミが出ません。このため、外出先でつまむだけでなく、家庭で食べるお菓子としても人気が高まりました。最近は子どもに限らず、大人でも勤務中や出退勤時などにリフレッシュなどの目的で食べており、コンビニエンスストアでの売り上げ増につながっています」と分析しています。
 グミがガムを追い越し、差を広げつつあるなかで、衝撃的なニュースが舞い込んできました。
 乳業製菓大手の明治(東京)が3月、1997年の発売から親しまれてきたガム「キシリッシュ」の販売を3月末に終了し、ガム事業から撤退することを発表したのです。

著名ブランド、まさかのグミ転身

 明治はガム事業から撤退しましたが、キシリッシュブランドの展開が終了したわけではありません。
 キシリッシュは4月から新たにグミのブランドになっています。
明治が4月に発売した「キシリッシュグミクリスタルミント」=同社提供

明治が4月に発売した「キシリッシュグミクリスタルミント」=同社提供

 ガムからグミへ。キシリッシュの転身の背景には、ガムの食べ方を巡る意識の変化があると明治のマーケティング担当者は言います。「ガムは気分転換やデンタルケア、眠気覚ましの目的で多く購入されてきました。しかし、最近はかんだガムを口から吐き出すことや、ごみが出ることにネガティブなイメージを持つ人が増えています。社会環境の変化により、消費者ニーズと商品との間のギャップが大きくなっていました」
 その上で、グミの市場の将来性には高い期待を寄せていました。「グミは、よりバラエティーに富んだ色や形のものを作ることができます。市場規模は今後もさらに伸長することが見込まれます」
 北海道内でグミを製造している会社を探してみると、意外な場所にメーカーがありました。オホーツク管内津別町のロマンス製菓という企業です。最近の市場拡大がどんな影響をもたらしているのか、工場を訪ねてみました。

従業員約30人のメーカーに注文殺到

 北見市街から車を走らせること30分ほど。人口4千人強の津別町にロマンス製菓の工場はあります。1990年のグミ工場の稼働以来、後志管内余市町産のリンゴや白ブドウ、北見産の和ハッカなど、北海道の特産品を材料に使ったグミを製造、販売しています。
 1947年創業の同社は終戦後の食糧難のなか、地元で栽培するジャガイモのでんぷんを使って水あめの製造を始めました。その後も、あめを中心に菓子製造を手がけていました。
 転機は1980年代、当時の社長ら幹部が視察したドイツの見本市で訪れます。会場では、動物などかわいらしい形をしたグミが子どもたちの人気を集めていました。国内では1980年に明治がグミの販売を始めたばかりでしたが、「まずは子どもをターゲットに、作ってみよう」とグミの開発を始めました。
リンゴやハッカ、メロンなど北海道の特産品を生かしたロマンス製菓のグミを紹介する同社営業部の吉田和史さん(右)と橋本誠司さん

リンゴやハッカ、メロンなど北海道の特産品を生かしたロマンス製菓のグミを
紹介する同社営業部の吉田和史さん(右)と橋本誠司さん

 北海道内の特産品と組み合わせたグミ商品を次々と開発し、各地のドライブインで販売したところ、団体観光客がお土産として次々に買い求めるようになりました。ロマンス製菓営業部の橋本誠司さんは「大手メーカーとは販売路線が違うので、観光客向けの商品は、売り場で競合しないんです。いろんな形のグミを製造できるので、いろいろ試しながら開発を続けました」と振り返ります。
 約30年前に変わり種のグミとして開発したのが、現在も道東限定で販売している「流氷王国クリオネグミ」と、道南限定の「踊るいかグミ」です。味はどちらもリンゴ味。「踊るいかグミ」のパッケージの裏には、函館港まつりの名物「いか踊り」の踊り方をイラスト付きで紹介しており、地元では土産品のロングセラーになっています。
地域限定で販売するイカとクリオネのグミ

地域限定で販売するイカとクリオネのグミ

 ロマンス製菓は東京都墨田区のすみだ水族館が販売するペンギンのグミなど、相手先ブランドによる生産(OEM)によって、北海道外にも多くの商品を提供しています。営業部の吉田和史さんは「うちは約8千個の小さなロットから注文を受け付けています。グミの製造ラインは特殊なので全国各地から依頼が来ます。1990年にグミの製造を始めてから今が1番忙しいかもしれませんね」と近年のグミ人気に驚きを隠せません。
 ベタベタしない食べやすいグミを製造するための工程は複雑です。トウモロコシで作ったでんぷんであるコーンスターチを一定の厚みで敷き詰め、そこにシリコンで作った型を押し当ててできた溝に、原料のゼラチンと水あめ、果汁を混ぜた液体を流し込みます。約40度に暖めた部屋に一晩置き、水分を飛ばして固めていきます。時間がかかるだけでなく、1種類ずつしか製造できないほか、30人ほどの小さな企業は従業員数の制約もあり、大幅な増産はできないそうです。
 吉田さんは「しょっちゅう製造の依頼をいただきますが、残念ながら現在は製造能力をオーバーしており、お断りすることも多いです」と打ち明けます。
シリコン製のクリオネグミの型。これをコーンスターチに押し当て、できた溝にグミの原料を流し込む

シリコン製のクリオネグミの型。これをコーンスターチに押し当て、できた溝にグミの原料を流し込む

 バターあめやハッカあめなど、北海道の土産品となるあめ類は多くありますが、グミはまだ種類が限られています。味だけでなく、食感や形、色も選択できるグミ。人気の高まりとともに、地域を発信するための特産品としての期待も高まりそうです。(デジタル報道チーム 若林彩)
(参考:北海道新聞電子版)

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