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なまらあちこち北海道|道内最古のはしご車、道外ファンも・留萌市

北海道

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消防自動車が好きな子どもは多いですよね。でも大人になってもまだ、という人はそんなにいないのではないでしょうか。でもそんな稀有な記者が、留萌消防署を訪ねました。

道内最古!北海道・留萌の現役はしご車 ごつごつ、頭でっかちが人気 道外ファンも来訪

 〝レトロ〟なはしご車が、留萌市の留萌消防組合留萌消防署に配備されています。1991年11月の導入から、実に32年超。今や道内〝最長老〟のはしご車です。貴重な車両を一目見ようと道内外からファンが来訪する人気ぶり。
 ただ、メーカーが想定する耐用年数を2倍近く上回っており、老朽化による故障も相次いでいるのだとか。幼い頃から緊急車両を眺めることが好きで、2024年3月に留萌に着任したばかりの記者(27)はいてもたってもいられず、留萌消防署を訪ねました。(留萌支局 山田健裕)
留萌消防署に配備されている道内〝最長老〟のはしご車
留萌消防署に配備されている道内〝最長老〟のはしご車

コックピットのような操縦席

 同署のはしご車は、消防車メーカー大手「モリタ」(兵庫県三田市)製の「MLEX5-35R」。全長約10メートル、幅約2.5メートル、高さ約3.7メートル、総重量約19トンと存在感があります。
 シンボルのはしごは35メートルまで伸ばすことができ、これはビルの11階ほどの高さに相当します。車両の側からはしごの先を見上げようとすれば、思わず体が後ろに反れます。車両というよりも、「構造物」と表現するのがぴったりかもしれません。

はしご車後部にある操縦席

はしご車後部にある操縦席

 車両の後部には、はしごの操縦席があります。操作盤の黒いレバーで、はしごを上下左右
に動かす仕組みです。「ブオーン」という豪快な排気音とともに動くはしごは、ファン垂ぜ
んもの。特撮映画に出てくる乗り物のコックピットのような操縦席の見た目も相まって、ワ
クワクが止まりません。

 

 このはしご車の特徴は、なんと言っても運転席の「でっぱり」です。前輪から大きくせり出しており、車庫から姿を現すと、通行人の目を引きます。ゴツゴツとしていて少し頭でっかちのような外観ですが、どこか愛嬌(あいきょう)を感じます。前面の丸い赤色灯の脇には、導入年度を示す「91」の白文字も。ベテラン車両ですね。
ずっしりとたたずむはしご車。運転席のでっぱりはトレードマークだ

ずっしりとたたずむはしご車。運転席のでっぱりはトレードマークだ

 同署はこれまで、春と秋の火災予防訓練や市民向けの見学会などで、はしご車を登場させ
てきました。また、夏場の休日には、東京や神奈川などから訪れるファンもいて、同署はそ
の都度、車庫から出して写真撮影に応じています。北海道新聞の地域面で24年4月上旬には
しご車の存在を紹介したところ、さっそくファンがやって来たそうです。

はしご車の車輪と車輪の間にある排気口。はしごを動かせば、もくもくと煙が上がる

はしご車の車輪と車輪の間にある排気口。はしごを動かせば、もくもくと煙が上がる

 モリタ社によると、同型(MLEX型)のはしご車は1986年から93年ごろに製造され、約80台が大阪や愛知などの全国各地で活躍。道内ではかつて釧路市西消防署阿寒湖温泉支署にも配備され、96年に阿寒湖温泉のホテルで発生した火災では、高層階に取り残された宿泊客ら数人を助け出しました。
 その頼もしい存在も、老朽化が進んで今年2月末に退役し、新型車にバトンタッチ。やはり阿寒湖でも、全国からファンが訪れ、地元幼稚園の乗車体験などで活躍したそうです。
2024年2月末で退役した阿寒湖温泉のはしご車。90年代のホテル火災では人命救助に力を発揮した=24年1月24日午後、小川正成撮影
2024年2月末で退役した阿寒湖温泉のはしご車。90年代の
ホテル火災では人命救助に力を発揮した
 同社の広報担当者は「阿寒湖の車両の更新により、他社製造のはしご車も含めて、留萌の車両が道内で最古。現存する同型車(MLEX型)は、留萌が唯一です」と話します。
 留萌消防組合がカバーするのは留萌市と、お隣の留萌管内小平町です。人口は合わせて2万人余り。札幌市(人口約196万人)や旭川市(同約32万人)に比べれば、こぢんまりしています。
 都市部とは異なり、高層の建物や火災の発生件数も少ない留萌・小平。とはいえ、留萌消防署のはしご車は90年代前半に起きた共同住宅での火災事案と、14年の高層階の救助事案で出動した実績を持ちます。塚本伸署長(51)は「4階以上の建物ならば、はしご車が活躍できるような現場です」と補足します。
 ただ、はしご車の耐用年数は17年。留萌の車両も老朽化が進み、故障が増えているそうです。日常的な点検や動作確認などは、署員らが手分けして実施します。予備部品を手に入れることは年々難しくなっているようで、同社はすでに製造していない部品もあると説明。
 同署によると、現在配備されているはしご車の導入費用は約1億1700万円でしたが、同じ規模のはしご車を新規購入する場合は3億円弱かかるといいます。留萌市幹部は「車両を更新したい要望は消防から受けている」と明かすものの、新型車を導入する具体的なめどは立っていません。
留萌消防署に配備されているはしご車

留萌消防署に配備されているはしご車

 それでも塚本署長は「この車両にしか活躍できない現場があり、何より愛着もあります。
なくてはならない存在ですし、動いてくれるうちは丁寧に使いたいですね」としみじみ語
ります。

 「日本の夕陽百選」に入る留萌。そんな夕日にも負けないくらいに真っ赤で大きな雄姿は、これからもしばらく健在のようです。縁の下の力持ちとして、今日も留萌・小平の街を温かく見守っています。
(参考:北海道新聞 デジタル発)
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