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なまらあちこち北海道|ファイターズ今川優馬のいとこはプロボクサー、日本王座を狙う

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プロボクシングで日本王座を狙う今川未徠選手は、プロ野球日本ハムファイターズの今川優馬選手のいとこだ。スーパーフライ級でチャンピオンを目指している。

ファイターズ今川優馬のいとこはプロボクサー 日本王座狙う今川未徠 新庄監督との縁も

試合に向けた練習に熱が入るプロボクサーの今川未徠。スーパーフライ級での日本王者を目指している=8月、東京都内(玉田順一撮影)

試合に向けた練習に熱が入るプロボクサーの今川未徠。
スーパーフライ級での日本王者を目指している

プロデビューは2015年

 「思い切り打ち抜け」「踏み出した足は真っすぐ戻せ」。2024年8月下旬、今川未徠は所属するJBスポーツ(東京都足立区)のジムでミット打ちを繰り返した。
 トレーナーの指示を聞き、利き腕の左パンチに力がこもる。9月10日、後楽園ホール(東京都文京区)でスーパーフライ級8回戦に挑む。
 試合は昨年12月以来、約8カ月ぶり。「久々に多くの人に見てもらえる」と気持ちを高ぶらせる。
 木更津市で生まれ、ボクシングは小学3年で始めた。地元のジムに入会し、袖ケ浦高(千葉)から敬愛大(同)へ。高校、大学といずれもボクシング部がなかったためジムで練習を続け、15年3月にプロデビュー。17年に全日本新人王のタイトルを手にし、22年末からは、石狩市出身でバンタム級元日本王者の沢田京介さん(36)=22年引退=の誘いを受け、東京のJBスポーツへと所属を移した。
 スーパーフライ級で、国内ランキング4位。9月10日の対戦相手は5位で、試合結果は毎月末に更新されるランキングの判断材料となり、上位の選手ほど日本王者への「挑戦権」に近づく。
 今川未徠のプロでの戦績は、20戦13勝(5KO)6敗1分。「(ランキングが)近く、特に格上の相手とどんどん戦いたい。その方が見ている人も盛り上がるし、僕も心が燃えて、楽しく試合ができる」。近年はパンチに効率良く力を伝える体の使い方を学び、持ち味のスピードに力強さが加わった。
バンタム級元日本王者の沢田京介さんのポスターを背にする今川未徠。「沢田さんがJBスポーツに誘ってくれたから今がある」と語る=8月、東京都内

バンタム級元日本王者の沢田京介さんのポスターを背にする今川未徠。

プロ野球選手のいとこから刺激

 刺激を受ける存在がいる。いとこである日本ハムの今川優馬だ。
 未徠の父政隆さんが、優馬の父広美さんの兄。未徠と優馬はお互いに6人きょうだいで、子供のころから交流があり、家族同士で千葉県内のレジャー施設で遊んだ。
プロ野球北海道日本ハムの今川優馬外野手。23年に使用を開始したエスコンフィールド北海道でオープン戦第1号本塁打を放った=2023年3月、北広島市のエスコンフィールド北海道(大石祐希撮影)

プロ野球北海道日本ハムの今川優馬外野手。23年に使用を開始した
エスコンフィールド北海道でオープン戦第1号本塁打を放った

 未徠にとっては「小さな頃の記憶はあまりない」が、一つ年下の優馬がプロ野球選手を目指す姿は気になっていた。優馬が社会人チームのJFE東日本でプレーした頃は差し入れし、都市対抗大会も観戦した。
 21年にドラフト6位で日本ハム入り後も注目している。「プレーはまだ映像でしか見ていないけど、活躍を知るたびに僕も頑張らないといけないと感じる」と話す。二人は頻繁に顔を合わせるわけではない。ただ、優馬も「未来兄ちゃんには同じプロとして刺激をもらっている。お互い頑張りたい」と話し、プロの世界で戦ううえでの励みとなっている。

衣装も日本ハムとの縁

 未徠にはもう一つ、日本ハムとゆかりがある。試合入場時の衣装だ。
 次戦から新たに身につける衣装は、日本ハムが昨季、着用した赤色の襟付きユニホームを手がけたデザイナー鶴田能史(たかふみ)さんがつくった。
試合前に着用する新たな衣装を着る今川未徠(左)と衣装を手がけた鶴田能史さん=24年8月、千葉県木更津市内(成川謙撮影)

試合前に着用する新たな衣装を着る今川未徠(左)と衣装を手がけた鶴田能史さん

 鶴田さんは新庄剛志監督(52)と交流がある。
 監督就任の1年目には、使い古したグラブの革を多数つなぎ合わせた特注の衣装をつくり注目を集めた。鶴田さんの「物を大切にする」という考えは、選手での現役時代、長年同じグラブを使い続けた新庄監督の思いと重なり、これまでに多くの衣装やチームのユニホームのデザインを任された。
グラブの革をつぎ合わせた特注の衣装を着る日本ハムの新庄剛志監督=22年1月、那覇市内(村本典之撮影)

グラブの革をつぎ合わせた特注の衣装を着る日本ハムの新庄剛志監督

 「鶴田さんは、着る人が大事にする思いを服で表現する方だと感じていた」
と理由を語る。お互いに拠点とする木更津市の交流会で仲を深め、意見を交わし、黒を
基調とした衣装ができあがった。

 

 デザインは、輝く光が上下に交差する。鶴田さんは意図を説明する。
 「『未来』の勝利を見据えている。試合に勝てるかどうかは不安なもの。その不安や闇の中で輝く光を、黒色を背景にすることで際立たせた。不安がつきまとう中でも、『必ず勝つぞ』という思いを表現した」
新調した入場時の衣装を着る今川未徠(左)と、トレーナーを務めるJBスポーツの山田武士代表。デザイナーの鶴田さんは「二人三脚で勝利をつかむ」との思いから、赤と青で色を分けた=24年8月、東京都内

新調した入場時の衣装を着る今川未徠(左)と、トレーナーを務めるJBスポーツの山田武士代表。デザイナーの鶴田さんは「二人三脚で勝利をつかむ」との思いから、赤と青で色を分けた。

 

 新たな衣装は9月10日の試合で初披露となる。未徠は「自分の気持ちをくみ取ってくれた
デザイン。試合前の入場はとても大事にしているので、モチベーションの高まりにつながる
と思う」と喜ぶ。

 

「知名度高めたい」

 不思議と深まる日本ハムとの縁は、ボクサーとしての意欲をかき立てる。「優馬は日本ハムの人気選手。僕もボクシングの世界で結果を出して、知名度を高めたい。プロである以上、どれだけ注目され、どれだけ期待を受けるか。それがプロボクサーの存在価値だと思っている」
 ボクサーとしては、大学生だった17年にスーパーフライ級の全日本新人王を獲得したこと以外、際立つ結果は出せていない。「負けが多いと受け止めている。だけど諦めなければ、(日本王者に)まだ届く」。ひたむきなプレースタイルで人気の優馬の存在は、未徠が歩み続ける原動力になっている。

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