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なまらあちこち北海道|マグロ大トロに負けない味のマイワシ

グルメ

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最近すし屋のネタに「マイワシ」が出てくるようになりました。確かに脂がのって美味しいものです。こんな安くて美味しいものが何故いままでネタとして扱われなかったのでしょうか。

マグロ大トロに負けない味のマイワシ 食卓の定番になれなかったのは江戸時代の名残?

 産卵を控えた秋ごろのマイワシは、脂がのって絶品だということは、水産関係者の間でよく知られています。ここ数年は、食用として加工する動きも増えてきましたが、そもそもなぜ、これだけの漁獲量がありながら、サケやホッケのように食卓の「定番」にならなかったのでしょうか。そこにはマイワシ特有の理由がありました。

絶品!「大トロいわし」

大トロいわしの刺し身(池下産業提供)

大トロいわしの刺し身(池下産業提供)

 マイワシは日本各地で漁獲され、道東沖も代表的な漁場の一つです。
十勝管内広尾町の池下産業は1983年の設立以来、道東沖産のマイワシを原料に魚粉や
魚油などを製造しています。2017年からは、秋にとれたマイワシで、脂がのった重さ
70グラム以上のものを選んで食用に冷凍加工し、「大トロいわし」のブランドで販売
しています。

 「食用に回るマイワシは少ないのですが、多くの人においしさを伝えたいと思い、企画しました。秋は脂がのって、マグロの大トロにだって引けを取らない。特殊な冷凍技術を使い、臭みもありません」。池下産業の池下藤一郎社長(41)は自信をのぞかせます。
 大トロいわしは道内の回転ずし店や高級旅館、レストランなどで採用されています。このほか、同社のホームページや経営するカフェ「Bay Lounge Coffee(ベイラウンジコーヒー)」(同町本通9)でも1本(100~132グラム)200円で販売しています。
 ベイラウンジコーヒーでは、大トロいわしを使ったかば焼き丼もランチメニューに加えています。記者も味わってみましたが、魚にしっかりと脂がのり、甘辛いかば焼きのタレにも負けていません。
大トロいわしを使ったかば焼き

大トロいわしを使ったかば焼き

 また同社では、瓶詰めの「大トロいわし 食べるラー油」や「大トロいわし バーニャカウダ」も販売しています。

食用はわずか12%

 農林水産省の「漁港別品目別用途別出荷量」を見ると、道内のマイワシのほとんどが釧路で水揚げされ、「魚油・飼肥料向け」が88%も占めていました。一般消費者が口に出来る「生鮮食用」「缶詰」「その他食用加工品」向けはわずか12%でした。この比率は、10年前からほぼ変わっていません。
 せっかくのおいしいマイワシなのになぜ食卓であまり見かけないのでしょうか。要因の一つに、魚体の小ささがあります。
 池下産業の池下社長は「水揚げされる平均は重さ50グラム程度、体長十数センチで小さいものがほとんど。この大きさだと切り身にできない上、小骨が多いため調理しづらく、シシャモのように丸ごと食べるのも難しい。それで敬遠されてしまった」とみています。
 マイワシに詳しい道立総合研究機構釧路水試の生方宏樹研究職員によると、小さな魚体が多いのは、餌となる動物プランクトンの量が十分ではなく「しっかり食べて大きくなれない」からだと言います。
 歴史的な背景もあります。マイワシは大量にとれる一方、鮮度が落ちやすいため食用にできるのは一部に限られ、江戸時代から水揚げの大半が肥料に加工されていました。漁獲量の変動も大きく、道内ではマイワシを食べる文化、習慣が広がりませんでした。新鮮なまま食卓に届ける技術や流通の仕組みができた今も、その名残があるようです。

増えるマイワシ

 道内のマイワシの漁獲量は1988年には130万3千トンもありました。しかし、海洋環境の変化などの理由で、90年代以降は減少傾向が続いていました。その後、2010年代からは資源が回復しています。2010年は519トンでしたが、19年以降は400倍以上になって、22年には約23万9千トンも水揚げされています。
いわしの缶詰が製造されているマルハニチロ釧路工場の製造ライン=2023年8月(高橋義英撮影)

いわしの缶詰が製造されているマルハニチロ釧路工場の製造ライン

 資源回復を背景に、マイワシをもっと食べてもらおうという動きが活発になっています。魚の缶詰を製造するマルハニチロ北日本(釧路市)は22年に、道東沖のマイワシを使った「いわし蒲焼」を主に生産する工場を、釧路市内に新設しました。同社の担当者は「工場が港から近いため、新鮮で脂ののったイワシを確保しやすい」と話します。
 道は20年から消費拡大に取り組み、道内の飲食店とのコラボ企画を展開するほか、家庭向けのマイワシ料理レシピを作成してホームページなどで公開しています。
 道内で漁獲される主な魚を見ると、スケソウダラやサケ、サンマといった北海道を代表する魚はいずれも漁獲が減少しています。根室市の水産加工会社「兼由」はサンマの不漁を受け、18年からマイワシを使ったみそ煮などのレトルト商品を製造しています。
兼由が製造するマイワシのレトルト商品

兼由が製造するマイワシのレトルト商品

世界で減るイワシ、高まる飼料の需要

 ちなみに世界に目を向けると、イワシ類が捕れなくなっている地域もあります。漁獲量が世界一位だった南米ペルーでは、マイワシの仲間のカタクチイワシの資源が激減し、禁漁措置をとっています。ペルー産のカタクチイワシは主に魚粉用で、「近年は中国が水産物の養殖に力を入れているため、エサとなる魚粉の需要は世界規模で高まっている」(池下社長)そうです。
 道内はどうでしょうか。釧路水試の生方研究職員は「当面、マイワシの豊漁は維持できそうだが、どこまでこの波が続くかは分からない」と話します。今後の資源動向も気になるところです。
(参考:北海道新聞 北の食☆トレンド)

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