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なまらあちこち北海道|覚醒せよ日ハムの若きスラッガー

スポーツ

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KJM(清宮、野村、万波)の活躍が期待される中、OBの松中信彦さんに日ハムに期待することを伺いました。

覚醒せよ日本ハムの若きスラッガー 松中信彦さん語る

 3月30日、プロ野球・日本ハムが今季から本拠地とする新球場「エスコンフィールド北海道」(北広島市)での開幕戦が行われ、「ボールパーク開業元年」がスタートしました。
 野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンが優勝した余韻も冷めやらない中、新球場での野球はどう変わっていくのでしょうか。「平成唯一の三冠王」の元ソフトバンク・松中信彦さん(49)に聞いたインタビューは新球場への期待、野球普及への取り組みについてです。
 ちなみに、日本ハムで期待する選手は、やはりあの若きスラッガーでした。
インタビューに答える松中信彦さん(浜本道夫撮影)

インタビューに答える松中信彦さん(浜本道夫撮影)

 まつなか・のぶひこ 1973年、熊本県生まれ。熊本・八代一高(現・秀岳館高)卒。新日鉄君津(現・日本製鉄かずさマジック)時の96年、アトランタ五輪代表として銀メダル獲得。同年のドラフト2位でダイエー(現ソフトバンク)に入団。2004年にパ・リーグで打率3割5分8厘、44本塁打、120打点をマークし、首位打者、本塁打王、打点王の「三冠王」を達成。06年、第1回WBCの日本代表の4番として初優勝に貢献した。15年シーズン限りで引退。プロ19年で通算1780試合に出場し、1767安打、352本塁打、1168打点。現在は野球解説者。

球場のサイズに合わせないで

 新球場は外野フェンスが低くなります。5.75メートルと12球団の本拠地で最も高かった札幌ドームに比べ、エスコンフィールド北海道は大部分が2.8メートルです。フィールドのサイズ自体も札幌ドームより狭くなり、本塁打増加が見込まれます。
 「選手は球場が育ててくれるものです。ですから、広い札幌ドームで戦っていた日本ハムの選手たちのホームランは、今年は増えると思います。ただ、来年以降も増えるかと言ったら、あまり変わらないのではないでしょうか。(日々の)打撃練習でその球場に慣れてしまうので。やっぱり練習の時からより遠くに飛ばす意識でいないと、球場のサイズに合わせて当てるようになってしまいます」
エスコンフィールド北海道(大石祐希撮影)

エスコンフィールド北海道(大石祐希撮影)

 ソフトバンクが本拠地とするペイペイドーム(福岡市)は、2015年(当時はヤフオクドーム)、外野フェンス手前に「ホームランテラス」を設置。本塁打数が前年の95本から141本へと激増しました。ただ、その後は18年の202本をピークに下降傾向にあり、22年は108本に減りました。
 「今、(ソフトバンク)ホークスの選手も(打球が)飛ばなくなりましたね。テラス席に『どん!』と放り込んで満足しているので。そういうのはすごくあります」
2015年、ヤフオクドーム(現ペイペイドーム)に新設されたホームランテラス

2015年、ヤフオクドーム(現ペイペイドーム)に新設されたホームランテラス

 選手の心理に忍び寄る「慣れ」が大敵のようです。
 「それだけ楽しく打撃練習ができるので、それに合わせた身体になっちゃうんです。よく僕たちも、セ・パ交流戦で(狭い)東京ドームや神宮球場で3連戦して、1週間ぐらいしてから戻って来ると、もう(福岡では)入らなかったです。東京ドームは『このバッティングでスタンドに入るのか』というくらい狭かったので。そういうのが1年間続くと、来年以降はどうかなとは感じますね」

ホームランの放物線に魅力

 それでも、アーチ量産には期待したいところ。松中さんが注目する日本ハムの打者は誰でしょうか。こう問いかけると、即答でした。
 「それはやっぱり清宮(幸太郎)選手でしょ。本人も(本塁打)30本を目標にしていると聞いています。年々ちょっとずつ、良くなってきている感じはします。あのホームランバッターらしい放物線を描ける選手はなかなかいない。僕もたまたまペイペイドームで解説をしていた時に見たので。それは魅力ですね。ただ、なかなか厳しいだろうなとは思って見ていましたね」
昨年9月のロッテ戦で、初の満塁本塁打を放った日本ハムの清宮選手。本塁打数を自己最多の18本に積み上げ、今季はさらなる飛躍が期待される=札幌ドーム(大島拓人撮影)

昨年9月のロッテ戦で、初の満塁本塁打を放った日本ハムの清宮選手。本塁打数を自己最多の18本に積み上げ、今季はさらなる飛躍が期待される=札幌ドーム(大島拓人撮影)

 どういうことでしょうか。
 「やっぱり打ち方ですね。バッターが10打席中3本ヒットを打ったとして、そのうちクリーンヒットは1本なんですね。あと2本は押し込んで(打球が)詰まったヒットのことが多いです。ただ、彼の場合はどっちかというとバットが(押し込めるように)内側から出ないんですよ。ですから、ちょっと苦労するなとは思っていました。この打ち方だと速い球には差されるし、(差されないように速球を)前で打とうとすると低めの変化球を振ってしまう。清宮選手だけではないんですが、そういうバットの軌道が最近は結構あるので。でも、僕が見る限りでは少しずつ改善されているので、今年はちょっと楽しみですね」
現役時代の松中信彦さん

現役時代の松中信彦さん

一過性で終わらせないために

 やはり平成唯一の三冠王。着眼点が違います。清宮選手の活躍を期待しつつ、WBCの盛り上がりを野球界はどう未来につなげていくのか―について聞きました。
 「二つあります。一つは、ダルビッシュ(有)投手(パドレス)や大谷(翔平)選手(エンゼルス)が記者会見で『子どもたちのために』と言っていたように、僕たちOBも(この盛り上がりを)一過性で終わらせてはいけないと思っています。コロナ禍もだんだん落ちついてきて、野球教室を開催しやすくなってきているので、やっぱり野球の楽しさを教えていかないといけないと思っています。僕は指導者にもなりたいので、今の子どもたちにどう教えたら、どう反応してくれるかもすごく興味がありますね」
松中信彦さん(浜本道夫撮影)

松中信彦さん(浜本道夫撮影)

お茶くみ当番は必要?

 もう一つは何でしょうか。すると、少年野球チームを取り巻く環境について熱く語りました。
 「一番問題だと思っているのは、これだけ共働き家庭が増え、物価高の中、親御さんに送迎やお茶くみ、弁当の用意などを担当させるチームがあるということです。それをまず改善していかないと普及は難しいと思います。私は、野球を知らない親御さんが、試合のアナウンスをさせられた話も聞いています」
 「野球は親御さんの負担が大きく、違うスポーツを習わせたいという家庭が多い。監督のお茶くみとか、弁当の用意を親御さんが当番制で担うなんて必要でしょうか。そのお金も(ボランティアのため)自分の負担です。こういうところを変えていかないと、WBCが盛り上がって『観戦は楽しい』となっても、子どもに野球をさせるには親の負担が大きいままです」
松中信彦さん(浜本道夫撮影)

松中信彦さん(浜本道夫撮影)

保護者の負担軽減を

 改善策はあるのでしょうか。

 「僕はたまたま息子がハンドボールをしている関係で、(福岡に)小中学生のハンドボールチームをつくっています。そこではまず、親の負担を減らす、親に負担させないことをテーマとしています。クラブチームなので、スポンサーに支援してもらい、送迎はマイクロバスを借りて行っています。地元の小学校に集合して(練習や試合会場に)連れて行く。親御さんが送迎することはありません。帰りは『何時にどこどこに到着予定です』と伝え、親御さんにはそこに迎えに来てもらうだけ。弁当も自分の子どもの分だけ用意すればいいです。これだけでもすごく保護者には喜んでもらえています。野球界もそうやって変えていかないと、と思っています」

(参考:北海道新聞電子版)

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