なまらあちこち北海道|最北コーヒー・森町

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「夏に植えた時と比べ、たくましくなりました」とコーヒーの木を前に笑顔を見せる山本要さん(2021年12月21日、桶谷駿矢撮影)
コーヒーの木を前に笑顔を見せる山本要さん

 

渡島管内森町の濁川地区で、昨年の夏からハウス栽培が始まったコーヒーの木が順調に越冬中です。赤道を挟んだ北緯25度から南緯25度までの温暖な「コーヒーベルト」が主産地で、寒冷地では不可能とされる栽培に、温泉熱の恵みを生かして地元農家と東京の農業法人が挑戦しています。世界最北の産地から高品質な豆を送りだそうと、取り組みが本格化しているところです。

「4カ月前と比べたら2倍の高さ。次々に出てくる葉にも勢いがある」
と笑顔を見せるのは、濁川地区でコーヒー栽培に取り組む農園経営の山本要さん(63)。昨年8月にハウス1棟に植えた70本の苗木は、12月には約50センチに育ちました。農園では1971年から温泉熱を利用したハウス栽培でトマトなどを手がけてきたノウハウがあります。

山本さんがコーヒー栽培を始めたのは、高校の先輩で農業法人パーシモンカルティベート(東京)を運営する玉木存(たもつ)代表(64)の事業計画に賛同したためと言います。

玉木代表は故郷森町の農業振興につながればと、付加価値の高い作物としてコーヒー豆に着目。濁川地区は日中と夜間の寒暖差があり、温泉水などを使えばコストも抑えられるため、
「国内のコーヒー栽培をけん引するブランド力の高い産地になる」
と判断したと語っています。

同社も同地区で栽培準備を進める一方、先行して山本さんに栽培を依頼したといういきさつです。

青々とした葉を付け、ハウス内で育つコーヒーの木。黒いパイプの中を流れる温泉水の熱が室内を暖める(2021年12月21日、桶谷駿矢撮影)

パイプ4本増強

12月下旬の真冬日のこの日も、つややかな緑のコーヒーの葉が茂るハウス内の温度は23度。通常は温泉水を中に通すパイプをハウス内に4本設置するのですが、寒さに弱いコーヒーのために8本に増やしたそうです。

万が一の冷え込みに備え、灯油による補助暖房も用意。山本さんの息子で同農園6代目の奉伯(とものり)さん(26)は毎晩、ハウス内を見回っています。

「初めての冬は正念場。雪国の栽培は例がないだけに細心の注意を払わないと」
と語っています。

国内のコーヒー栽培は沖縄が中心で、成功すれば「商業栽培では世界最北になる」(パーシモン社)ということです。

濁川地区で栽培するのは香り高く味わいが深いアラビカ・ティピカ種です。多くの輸入生豆のように薬剤による薫蒸は必要なく、山本さんは
「なるべく農薬も使わず、安全性にこだわったコーヒーを消費者に届けたい」
と意欲をみせています。

「観光農園化」も

「質の高い豆を最大限に生かすためには、製造過程が重要」
と話す玉木代表は、今春にも東京都内に研究施設「コーヒー・リファイン・ラボ」を設立する予定です。

濁川地区で3~4年後に収穫予定の1トンの生豆を製品化するため、自社で精製、焙煎(ばいせん)などを一貫して行うためです。

玉木代表は今後は同地区にも「ラボ」を設立予定で、栽培の様子の見学や試飲、焙煎が楽しめる観光農園化も視野に入れているとのことです。

仕掛け人のパーシモンカルティベートの玉木代表

沖縄では1キロ13万円で取引される豆もあるなど、希少性の高さを求めるコーヒー愛好者は増加の一途です。

世界的なバリスタ(コーヒー抽出の専門家)として知られ、コーヒーに関する著作もある東京在住の岩崎泰三さん(40)は、昨年8月に視察した濁川地区について
「ミネラル成分を多く含む海に近い火山性の土壌や、温泉熱による安定した温度の維持で高品質の豆の生産が期待でき、世界的なブランドに成長する可能性もある」
と話しています。

地元の関心も高い。道南産品の販売に力を入れる函館市の無印良品シエスタハコダテの高橋雅史店長(43)は
「ロマンを感じる取り組み。ぜひ協力し盛り上げたい」
と話しています。順調に生育する“最北のコーヒー”に多くの人が熱い視線を送っている。

(参考:北海道新聞ニュース電子版)

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