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来季のミラノ・コルティナ冬季五輪日本代表候補選考を兼ねる日本選手権が2月2日、横浜市の多目的アリーナ「横浜BUNTAI」で開幕する。
「プラスしかない」「今後もアリーナ一択」 本橋麻里さん 初の首都圏開催のカーリング日本選手権、2日開幕
今年で42回を数える同選手権が首都圏で行われるのは初めて。加えて選手側が待ち望んでいた、専用施設ではない場所に氷を張る世界基準の「アリーナアイス」での戦いとなる。
会場設営が急ピッチに進む中、2010年バンクーバーなど五輪3大会の女子日本代表だった本橋麻里さん(38)にオンラインで今回の意義を聞いた。経験豊富なオリンピアンはどう受け止めているのか。
(首都圏開催は)今までの日本選手権とは比べ物にならないほどの方が見に来られるようになり、ビギナーのファンの方がちょっとずつ振り向いてくれる。選手側からすると、たくさんの方に囲まれてプレーをする状況は、世界選手権と同じような状況下で、(事前)練習にもなります。プラスしかないですね。
もちろん、カーリングを広めるため、小さいことをコツコツ積み重ねることも大事なんですが、やはり日本カーリング協会が大きく動かないと、競技の人気の伸びしろ(のなさ)が見えてきてしまう危機感をすごい持っていました。
また、トップ・カーラー(カーリング選手)になりたければ、(専用施設の)ホームリンクと(世界選手権や五輪の)アイスアリーナをマスターする、二つのスキルがどうしても必要になってきます。
変革期に突入
アリーナのアイスは、基本的にはアイスホッケーやフィギュアを行う氷の上に、カーリング用の氷を作るので、(安定感のある専用施設とは)氷の冷やし方が違い、外気の影響も異なります。
(選手は)1回乗っただけではマスターできないので、たくさんのアイスアリーナを経験することが勝ちにつながってきますが、日本(の選手)はトップチームを除き、まだまだアリーナアイスに乗る回数が少ない。日本から世界に出て初めて「わー、アリーナアイスだ」とならないようにしていかないといけません。
(実現が)遅かったなという感じはあります。世界のカーリング界は、すごくスピーディーにいろんな挑戦をしている中、まだまだ謙虚な姿勢でいた日本ではあったんですが、各チームが(世界で)活躍することによって、日本も何かを大きく変えなければいけないタイミングになってきたと思います。日本のカーリング界全体が、「今は大きな変革期なんだ」と進んでいかなればいけない時期に入ったのかなと感じています。
挑戦にミスはつきもの
ただ、まだスタートしてないので、手放しで全部成功だとは言えません。普段は(氷を張っていない)体育施設に氷を作って、ナショナルレベルの大会を開催するのは、世界で初めてだと思うので、正直不安ではあります。
順調に行けば何も問題ないですが、氷が解けてしまったとか(ストーンが)滑らない、曲がらないということが起こらないように、日本協会には選手側から「最終日までしっかり戦える準備をしてほしい」と要望はしています。それでも挑戦にはミスや修正点はつきものですし、それがないと次に行けない状況は、何も悪いことではないと思います。
カーリング・ビジネスから熱視線
日本では過去に、世界選手権を札幌と青森で、オリンピックを長野で開催しましたが、近年は招致できていない現実があります。でも、アジアのカーリング・ビジネスの中で、日本は興味を持たれているエリアです。今回のアリーナで行う首都圏開催は海外へのアピールになります。日本が本気になれば、(世界カーリング連盟の)検討事項に入るので、今回の開催が(国際大会誘致への)準備となる大会だということもすごく感じています。
そういった意味で、(一過性ではなく)継続すること。日本選手権は(今後も)アリーナアイス開催の一択しかないと、私は思っています。
日本選手権の開催地 1984年、札幌市の真駒内アイスアリーナで第1回が行われた。今年で42回目。開催地は北見市常呂町と長野県軽井沢町がともに12回、札幌市が10回など。首都圏の横浜市開催は初めて。これまでほぼ全てカーリング専用施設で行われており、アリーナ施設の開催は98年長野五輪前の97年1回のみ。
(参考:北海道新聞 夕方のニュース)
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