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なまらあちこち北海道|もしもの時、ペットをどうしますか・札幌市内で

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とっても可愛いペット、家族の一員です。でも、もしあなたに何かがあったとき、ペットはどうなるのでしょうか? そんな問題を取り上げています。

<もしもの時ペットどうする>(上)新たな飼い主探し 頼める友人づくり 遺言書や信託も

 

自宅の庭でローラ(右)と、レオン(中央)とくつろぐ工藤裕子さん=3日、札幌市西区(中村祐子撮影)

どんな準備が必要か

高齢者がペットを飼っている場合に、飼い主の病気や介護施設の入所などで、ペットの面倒を最期までみられないケースがあります。飼い主や家族は万一の場合に備えて、どのような準備ができるのでしょうか。

自然に囲まれた札幌市西区の工藤裕子さん(76)の自宅には、犬が走り回れる広い庭があります。これまで5匹の犬と暮らし、現在は大型犬のローラ(15歳)と、小型犬のレオン(16歳)と過ごしています。人間ならばいずれも80歳を超える老犬です。

工藤さんは昨年2月に大腸がんのステージ3と診断されました。
「手術は成功したけれど、入院時は犬をどうしようと焦りました」
医師からは2日後に入院するよう言われ、慌てて預け先を探したそうです。

当時は15歳の大型犬もいて、3匹で1日計9種類の薬を飲ませ(人間と同じですね)、ペットフードも食べやすくして与えるなど手間を掛けていました。2世帯住宅に暮らす息子夫婦は、共働きで幼児を育てていて「複数の高齢犬の世話は難しいと判断して、頼まなかった」と言います。

幸い、犬の散歩で仲良くなった友だちに老犬を一時預かってくれる施設を紹介してもらい、入院できました。「友だちには心底感謝しています」と振り返っています。

工藤さんは今も自分の「もしもの時」を想像しない訳ではありません。ただ「(飼い犬を)みとれずに先立つ可能性を直視するのはつらい」と打ち明けます。

収容施設

飼い主の不測の事態で行き場を失うペットは現実にいます。動物愛護法に基づいて、自治体は飼い主にやむを得ない事情がある場合に限って犬猫を引き取ることになっています。その収容施設が、保健所や動物管理センターなどです。

札幌市の同センターには連日のように「引き取ってほしい」と相談が寄せられています。事情はさまざまなですが、高齢の飼い主が病気で入院、介護施設に入所したという内容のほか、飼い主が死亡して家族も飼えないケースが多いということです。

道立保健所と、札幌市・旭川市の両保健所の収容施設で2020年度に収容された犬は805匹、そのうち譲渡先が見つからないなどの理由で殺処分されたのは68匹でした。猫は1781匹で、149匹が同じく殺処分されました。札幌市動物管理センターは「万一に備えてペットを託せる人を検討してほしい」と訴えています。

ペットとの生活を支援するNPO法人ホッカイドウ・アニマル・ロー代表の今井真由美さんは新たな飼い主探しに向けて「ペットを通して人間関係を広げるよう、努力しましょう」と勧めています。ペットの散歩やペット関連のイベントなどが、出会いのきっかけになります。身近な人に早めに相談することで、解決の糸口も見つかりやすいとのこと。「事前に新たな飼い主とのつながりがあると、安心できます」と呼びかけています。

遺言書やペット信託

「遺言書」や「ペット信託」という方法もあるそうです。行政書士でペット法務に詳しい今井さんによると、「遺言書」は、自分が亡くなったときに財産を相続する人などに、ペットの世話を条件として飼育のための財産を残すことがでします。

「ペット信託」は、自分が飼育できなくなる前に、将来の飼い主と契約してペットの飼育を託すことです。遺言書と違って、施設入所時など生前から効力を発揮します。

実際にかかる飼育費はペットの状況によって変わりますが今井さんは「餌代や治療費などを含む1年間の飼育費相場は、猫が約10万円、犬が約15万円。必要に応じて葬儀費用などを追加します。また、予備費として約20万円も必要でしょう」と説明します。

マーちゃんを世話する宮西雅子さん。マーちゃんは飼い主が着ていた服が好きで、離れない=4日、札幌市北区
マーちゃんを世話する宮西雅子さん。マーちゃんは飼い主が着ていた服が好きで、離れない

飼い主探しノート

<もしもの時ペットどうする>(下)業者や譲渡制度 老犬ホームで終生飼育 ネットで新たな飼い主探しも

ペットを最期までみとれない場合に備えて、元気なうちから新しい飼い主を見つけておきたい。しかし、飼い主や家族も身近に譲渡先の心当たりがない場合、ペットのついのすみかを見つけるためにどのような方法があるのでしょうか。

札幌市北区の渡部ひろみさん(55)は、8月上旬に当時81歳の伯母をがんで亡くしました。伯母の夫は既に亡くなっており、子どもはなく、19歳の小型犬「マーちゃん」が残されていました。

「生前に譲渡先を一緒に見つけて、伯母を安心させてあげればよかった」と渡部さんは悔やんでいます。伯母は病気が判明した1週間後に亡くなりました。

誰が犬を育てるかは決めていませんでした。慌てて渡部さんら親族が飼い主探しを始め、今は札幌市北区の老犬ホーム「逢犬(あいけん)はうす」で暮らしています。

親族はみな、伯母が愛する犬を引き取りたい気持ちはあっても、高齢や仕事の忙しさ、他にペットがいるなどの事情でできませんでした。ペット病院やホテルに問い合わせたが引き取りは受け付けておらず、駆け込んだのが「逢犬はうす」でした。渡部さんは「介護が必要な犬を預かってくれる場所が見つかって、本当に良かった」と胸をなで下ろしていました。

老犬ホームは、民間の事業者が運営する施設で、介護が必要なペットを一時的に預けたり、終生飼育を頼んだりできます。

「第1種動物取扱業」として、都道府県や政令市の首長の登録を受ける施設もあります。登録された施設は動物の管理方法や飼育施設の規模などの基準を守ることが義務づけられており、道と札幌市のホームページ(HP)で確認できます。

渡部さんが利用した「逢犬はうす」も登録済みで、代表の宮西雅子さん(59)は10年以上、全道の保健所から譲渡先の見つからない犬猫を、個人の活動として預かり育ててます。2016年からは老犬ホームとしても営業を始め、活動を広げています。

施設は2階建てで、10匹前後の犬を常に預かっています。終生飼育の料金は、小型犬の場合は1カ月8万8千円から。餌代のほか、おむつや医師の往診代なども含まれれます。

月々の費用は安いとはいえません。だからこそ、宮西さんは「残された人が困らないように、飼い主は自分が飼えなくなった後まで考えて飼育費を準備してほしい」と呼びかけます。「もし施設に預けたいなら、元気なうちにオーナーと会って、信頼できる場所を選んで」と付け加えました。

各振興局の環境生活課と動物管理センター(札幌)は、「飼い主さがしノート」事業で譲渡先探しをサポートしています。犬猫を譲りたい人と、譲り受けたい人をつなげる仕組みで、同センターは鳥などのペットも受け付けています。

HPに譲りたい人からペットの情報や連絡先を掲載してもらい、飼いたい希望者から連絡があれば、両者が直接やりとりして譲渡を決めます。費用はかかりません。掲載期間は原則3カ月ですが、延長も可能となっています。

(参考:北海道新聞電子版)

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