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なまらあちこち北海道|明治神宮野球大会(大学の部)は札幌大学に決定

スポーツ

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第55回明治神宮野球大会(大学の部)は札幌大学が出場権を獲得した。38年ぶりの強さの秘密を探る。

「自分が投げれば勝つ」札大が挑む明治神宮野球大会、20日開幕

 明治神宮野球大会が20日、東京・神宮球場で開幕する。関東、近畿など全国の各地区大会を勝ち抜いた大学、高校がそろう大会で、大学の部は札幌大が38年ぶり9度目の出場権を手にした。
元プロの指導と全員野球で神宮に駒を進めた札大は上位進出を狙い、期待がかかる。

 

大学の部 防御率0.77のエース左腕

 11月上旬、札幌市内の室内練習場で、必死の表情で投げ込む投手がいた。38年ぶり出場の立役者となったエース左腕の長谷隼兵(4年、旭川龍谷)だ。

 

 長谷は今秋、最速146キロの直球とスライダーに加え、チェンジアップを習得。1年生捕手の麻原草太(クラーク記念国際)とのバッテリーで、防御率0.77と相手打線を抑え込んだ。「自分が投げればチームが勝てる自信がある。(好投した)リーグ戦のような投球をしたい」。明治神宮大会での好投と、初戦突破を誓った。

 

明治神宮大会に向けて調整するエース長谷(舘山国敏撮影)

明治神宮大会に向けて調整するエース長谷

 

2007年春以来、Vから遠ざかる

 札大野球部は1967年の創部。札幌六大学野球で33回の優勝(道六大学とのリーグ分離以前を含む)を誇る名門だが、2007年春季以来、リーグ制覇から遠ざかっていた。
 今年の秋季リーグは長谷が最優秀投手、主に1番を打つ伊藤翼(3年、白樺学園)が打率4割5分2厘で首位打者に輝くなど、投打とも充実した内容で7勝3敗の成績を挙げ、復活を果たした。
 明治神宮大会道地区代表決定戦(10月・函館)では、道六大学の秋季リーグを9勝1敗で制した函大と対戦。2試合で計28安打、16得点の猛攻で函大を圧倒した。就任2年目の上原哲朗監督は「ここまで正直やれると思っていなかった」と驚く快進撃だった。
就任2年目の上原監督。明治神宮大会には自身も学生時代に2度出場している

就任2年目の上原監督。明治神宮大会には自身も学生時代に2度出場している

飛躍を呼んだ元プロのコーチ

 飛躍のきっかけとなったのが今年3月、佐藤真一さん(札幌市出身)が総合コーチに就任したことだ。佐藤さんは野村克也監督(故人)の下、プロ野球のヤクルトで2度の日本一に貢献。現役引退後も18年間、ヤクルトやオリックスでコーチなどを歴任した。札大野球部の総合コーチ就任後は週6回の練習にほぼ毎日参加しており、主に守備や走塁を指導する。
 春は守備の乱れが目立ち、4位に終わった反省から取り入れた練習がある。ノーエラーノックだ。全員へ順番にシートノックを行い、エラーしたら一からやり直すというものだ。「精神的な部分で自分に厳しく、チームの責任を感じてプレーできる選手に育ってほしい」と佐藤総合コーチ。練習に緊張感が生まれ、次第にミスも減っていった。
 主将の佐野翔騎郎(4年、札幌大谷)は「練習の質が上がり、1球に対する集中力が間違いなく上がった」と成果に胸を張る。
練習中、選手に積極的にアドバイスを送る佐藤総合コーチ

練習中、選手に積極的にアドバイスを送る佐藤総合コーチ

 打撃では、チーム全員がセンター方向を意識して単打を狙い、強く低い打球を打つことを徹底する。昨年までと異なり、バットを短く持ち、芯に当てる確率を高めるため、コンパクトに振る。打球の方向や質にもこだわり、緩い球を打ち込むなど実戦を想定した練習もこなし、多い日で千スイング以上バットを振り込んできた。
 得点力を高めるため、走塁にも磨きをかけた。佐藤総合コーチの指導の下、走塁ではベースの回り方やリードなど一つ一つ確認し、少しでも先の塁を狙う意識を高めた。秋季リーグでは春季より5点上回る44得点を挙げた。上原監督は「何から何まで技術指導をしてくれ、選手たちは上(プロ)の野球を吸収できた。選手も安心する」と佐藤コーチの指導に感謝する。
低く強い打撃を意識し、打撃練習を行う佐野主将

低く強い打撃を意識し、打撃練習を行う佐野主将

不祥事乗り越え

 不祥事も乗り越えた。札大では4月、当時20歳未満の複数の野球部員が春季合宿中(3月、鹿児島県)に飲酒・喫煙していたことが発覚。全日本大学野球連盟が当該部員20人について春季リーグ戦の登録を認めない厳重注意処分を決めた。
 20人の中には、ベンチ入りを予定していた選手も数人いた。残った選手にも精神的な影響もあり、「どこに行っても話題に上り、就職活動の面接でも聞かれた。なかなか状態が上がらず、私生活も制限されるところもあった」と佐野主将。活動を休止したメンバーが復帰して以降、上級生が積極的に声を掛けて、チームの一体感を高めたことも、秋の快進撃につながった。
 明治神宮大会の大学の部は11校が出場する。札大は21日の初戦で天理大(関西五連盟)と対戦する。「全員で1勝したい」。佐野主将の言葉は全部員の思いでもある。
(参考:北海道新聞 夕方のニュース)

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