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サウナブームが続く中、自宅にサウナを設置する動きが札幌圏で広がっています。大手サウナ機器メーカーの自宅向けサウナの販売台数が過去3年間で6倍に急増。サウナ付き住居を全面的に押し出し、マイホームを販売する住宅メーカーも出てきました。
「自宅にサウナがあることで、わざわざ出かける手間が省けて生活の質が上がった」。札幌市の自営業高橋大行さん(40)は、昨年5月に市内豊平区に一戸建て住宅を新築した際、屋内サウナを設置した。広さは1坪(約3.3平方メートル)で3~4人が入室可能。室内には、レッドシダー(米スギ)の心地よい香りが漂う。
「サウナに入ると疲れが取れてリフレッシュできる」と高橋さんは以前から市内の入浴施設に頻繁に通っていた。「どうせ毎回お金を払うなら自宅に設置した方が良い」と考え、思い切って設けることに。設置費用は約250万円。それでも「電気代も1回につき数百円程度で、自由に温度設定できるのも良い」と話す。
漫画家タナカカツキさんの漫画「サ道」がドラマ化された2019年頃から、若者を中心に火が付いた「サウナブーム」。水風呂や外気浴を繰り返し「ととのう」と表現される爽快感などが注目された。
販売台数7倍に急増
このブームに乗るのが、札幌の住宅メーカー「フェザーホーム」。2021年の創業以来、オプションでサウナ付き住宅を手がける。札幌圏でのサウナの設置件数は21年の初年度が3件だったのに対し、24年度は21件に急増した。
同社の千田侑也社長(39)は「周囲を気にせずサウナに入りたいという人が増えている」と話す。設置費用はおおむね250万~500万円で、最近は30代のサラリーマン世帯の購入が増えているという。
サウナの効能を医学的に研究する「日本サウナ学会」の代表理事で、北斗病院(帯広)の加藤容崇医師(41)は、「疲労回復や睡眠の質の向上など、サウナの効果を実感した人が自宅に設置する動きを見せている」と分析。その上で「高度成長期に家庭向けのお風呂が急速に普及したように、各家庭にサウナがあるのが当たり前の時代がくるかもしれない」と話している。
やけどなどの事故も増加傾向
ブームの一方で、サウナ関連の事故は増加傾向にある。サウナ室から出た後に水風呂に入るなど急激な温度変化を伴う行為は、血圧が上下することで起きる「ヒートショック」にもつながりかねず、注意が必要だ。
消費者庁によると、全国でサウナに関連する事故情報は2010年度以降78件寄せられ、82人がやけどや打撲などを負った。全身やけどや急性循環器不全で亡くなった事例もある。けがをした人の7割以上が40~79歳の中高年層で、若年層に比べ、めまいや意識障害などを引き起こす割合が高いという。
最近は家庭用サウナを設置する愛好者が増えており、日本サウナ学会は「1人で入ると万が一、気を失った時などに発見されないリスクがある」とし、家族に声掛けした上での入室や、設置場所を家族の目につきやすいところにするなど工夫することを呼びかける。
火災への注意も必要だ。札幌市消防局によると、サウナに起因する火災が2023年に1件あった。市内のホテルで、客がアロマオイル入りの水をサウナ用ストーンにかけた際、オイル濃度が高かったためストーブに触れて発火、軽いやけどを負った。
同局は「サウナ用ストーブなどに可燃物を近づけないよう注意してほしい」と話している。
(参考:北海道新聞 夕方のニュース)
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