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宇宙のまち、宇宙港として開発が進むロケットのマチ、大樹町が10年前からロケット開発をしています。
今後の夢や課題と期待について考察しています。
“宇宙のまち”を観光地に 外国人観光客取り込みも
加速する宇宙のまちづくり
ことし9月7日、大樹町でロケット関連施設の着工式が行われました。新たな工事では、世界的な需要が高まる小型の人工衛星を打ち上げるための発射場が作られるほか、滑走路を現在の1000メートルからさらに300メートル延伸する計画です。新たな発射場では町内でロケット開発を行うベンチャー企業の新型ロケット「ZERO」の打ち上げも予定されています。
これら一連の施設は「宇宙港」と呼ばれ、民間向けとしてはアジアで初めてとなります。大樹町を宇宙開発の一大拠点とする構想が進んでいます。
(スペースコタン・小田切義憲社長)
「まずは発射場をきちんと整備して打ち上げられる環境をつくっていく。そうすることで、ロケットの製造事業者や人工衛星の事業者など関連する企業が集まり、さらには人が増えていき、より経済活動が活性化していく。北海道宇宙版シリコンバレーをつくることを最終的なゴールにしたいと考えている」
町役場に着任したのは旅行会社の社員!?
こうしたなか、地元で新たな動きもありました。大手旅行会社から派遣された吉田たすくさん(45)です。大樹町で取り組みが進む宇宙事業を観光客の誘致にもつなげていこうと、ことし7月に町が大手旅行会社と結んだ連携協定を受け、派遣されたのです。この一環で、ことし9月にはロケット開発を行うベンチャー企業で行われた報道陣向けのツアーも手配しました。
(吉田たすくさん)
「初めて工場に来られる方が多いということで、非常に興味をもって見学されているという姿が印象的でした。すごくいいプレスツアーになったのかなと思いますね」
これまで観光とはほど遠かったという大樹町ですが、宇宙のまちづくりを進めるなかで、町の観光に対する意識に変化が起こっているといいます。
(大樹町・酒森正人町長)
「大樹の観光というのは、観光ということすらおこがましいくらいのレベルで、ここに滞在してもらえるようなコンテンツが正直無いなと僕らが思っていました。しかし、さまざまな方々が大樹町で航空宇宙の取り組みも含め活動、活躍してくれているなかで大樹にあるポテンシャルを気付かせてくれる場面がたくさんでてきています。通過型の観光から、ここが目的地となる。そういう観光に変えていきたいと思っています」
どうしたら町に観光客を呼び込めるのかー。すでに吉田さんと地元の事業者で話し合いが行われています。「夏に10万人レベルのフェスを開催する」「スマート農業を疑似体験する」。なかには、打ち上げの失敗をあえて紹介する展示、音楽や食をテーマにしたフェスの開催、既存の滑走路を生かした取り組みなどユニークなアイデアも出されました。こうした意見を整理し、観光戦略を策定したいとしています。
(吉田たすくさん)
「前向きな意見が多いですよね。いろいろな意見がありますけれども、観光を良くしていきたいという気持ちがひしひしと伝わってくるというか、非常にいい機会だったなと思います」
海外勤務を生かし、訪日外国人の呼び込みも期待
吉田さんは、大樹町に来る前は旅行会社で中国人観光客の誘致を担当していました。取材中には、記者からのむちゃぶりにもかかわらず滞在中に培った流ちょうな中国語を披露してくださる場面もありました。吉田さんは中国人観光客にとっても町は非常に魅力的な観光地になりうると考えています。
(吉田たすくさん)
「ロケットの実物が見られるというのは非常に関心が高くて、中国でいうと国家機密ですけれども実際に北海道の大樹町に来れば民間ロケットの実物が見られるということでぜひ行ってみたいとの声が非常に多いです。たくさんの外国人の方に来ていただいて、大樹町の魅力を伝えていきたいと思います」
(大樹町・酒森正人町長)
「インバウンドの皆さんがどういう観光を北海道に望んでいるのかよく理解されていると思います。大樹にもおそらく、インバウンドの皆さんが望んでいるような、ある意味北海道の姿があるはずだと思っています。彼には期待しかない、とても楽しみにしています」
今回の大手旅行会社との連携協定を受けて、ことし9月に東京・江東区で行われる、観光をテーマにした大規模な展示会にも大樹町が初めてブースを設けるということです。ブースでは町が整備を目指すロケットの関連施設などが紹介される予定で、大樹町の取り組みを道外にも広く発信することにしています。
旅行業界のノウハウや海外経験をもつ、強力なメンバーが加わったことで町の観光にどんな変化が起きるのか今後も注目していきたいと思います。
宇宙をまちづくりに生かそうと取り組んできた大樹町。「宇宙のまち」のイメージもだいぶ定着してきましたが、実は住民の理解がじゅうぶんに広がっていないのが課題です。
どうやって「宇宙ファン」を増やすのかが、今後の課題です。
(参考:HTBニュース、NHKニュース)
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