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道内出身のお笑いコンビ「タカアンドトシ」は全国区のタレントとして活動する一方、北海道観光大使として地元のPRに奔走しています。ボケ役のタカさん(43)とツッコミ役のトシさん(43)が語った北海道の魅力や課題を、紹介します。(聞き手・本庄彩芳、インタビューは吉本興業東京本部で行いました)
タカトシが語る地元愛
東京から首都移転を!
――道内は少子高齢化や人口減少が進んでいます。
タカ「日本自体の人口が減っているんだったら、多分、北海道のせいじゃないと思うんですよね。北海道は良いところですから、東京とか違う土地に行こうとするなんて、そんな愚かなことをする道産子はいないと思います」
トシ「いやいや、行ってるじゃねーか。まず俺らが」
タカ「この仕事は東京じゃないとできない仕事だったから、来ましたけど」
トシ「現実問題、北海道を出ちゃってるから」
タカ「その、気持ちだけは…北海道LOVEです。とにかく魅力的ですからね」
トシ「全国の人から見たら、北海道は魅力度ランキングずっと1位とかなんですけどね。内情は過疎化が進んでいたり、小さなマチが人口が減って、困ったりしているなんて聞きます。食べ物も空気もおいしいし、自然もいっぱい。だから、もっとうまく利用できたら、もっと良くなるのかな。最高の土地なんですけどね。利用の仕方なんですかね」
タカ「東京じゃなくて、北海道に首都を動かせばいいんですよ。そうすれば皆さん、どんどん集まってきますから。うん、それで行きましょう」
トシ「『行きましょう』って誰に言ってるんですか」
高視聴率で実感 道民の郷土愛
タカ「われわれが、約20年前に北海道でデビューした時は、ローカル番組は数字(視聴率)が取れなかったんですよ。でも最近、夕方の番組でも地元の情報を見たい視聴者が多くて。ゴールデンの時間帯で『発見!タカトシランド』(UHB)という番組をやっていますけど、最初は数字が悪くてすぐ終わるだろうって、みんなからバカにされていたんです」
トシ「誰が言われたんだよ。バカにされてねーよ」
タカ「でも、ふたを開けてみたら徐々に定着して、いい数字がとれて…みんな見てくださっているんです。やっぱり北海道に住んでいる人は北海道のことを好きで、地元の情報を知りたがっています。昔よりもローカル番組に対する地元愛は増えていると、自分たちでやってみて肌で感じるんです。自分の土地を愛し始めている。なので、ただ子どもが少なくなって、お年寄りが亡くなっている。それだけで、そんなに心配することないと思うんですよ」
トシ「そこが心配なんだよ。子どもが減ってるっていう、それが過疎化なんだから」
タカ「それは北海道に限った問題じゃないですよね」
トシ「いや、そうなんですけど、北海道も問題なんですよ」
北海道の魅力伝えていきたい
トシ「それは、そうなんですけど。われわれレベルで何ができるかという提案をしていかなきゃいけないでしょ」
タカ「われわれレベルでどうしたらいいか?」
トシ「そうですよ。われわれはじゃあ、何を協力できるのかと」
タカ「北海道での番組や活動をもうちょっと増やして、『ああ、北海道はこんなすてきなところがいっぱいあるんだ』ということを、テレビやラジオを通して伝えていきたいです。やっぱり北海道で仕事が入るとうれしいんです。基本、面倒くさがりなんですが『これ、北海道でのロケですよ』と言われたら『じゃあ入れてよ』というくらい、行けるだけでもう幸せで」
トシ「好きだ好きだ、しか言っていないんですよ、こいつはさっきから。ジンギスカン食べて、カラオケ行きたいだけなんだから。それが目的なんですから」
タカ「でもいいじゃない、それだって。めちゃくちゃ札幌のジンギスカンはうまいですよね。安くてうまいというのは魅力ですよ」
「面白くないローカル」20年で一変
――上京する前までの北海道に対するイメージは。
タカ「お笑いをやり始めた頃は、北海道にいても絶対人気者になれないというイメージでした。ローカルタレントに対しての当たりが厳しいというか。『え、どうせローカルでしょ』と。あのころは同じ北海道人なのに、北海道を認めないという文化があったという印象があります。『こいつら誰?ローカルタレント?じゃあ面白くないじゃん』というのが口癖でしたから。われわれの」
トシ「そんなに言ってねーわ。だいたい、そんなに会話に出てこなかったよ」
タカ「『札幌で作っているテレビか、じゃあ(チャンネルを)変えよう』みたいな感覚だったんです。それが、20年たって変わりつつあります。『札幌、映ってるじゃん。どんなお店あるんだろう』とか、『函館だ、見てみよう』とか。昔と明らかに変わってきています」
トシ「やり方をうまくした、ということもあると思うんです。チームナックスの皆さんとか、全国でも人気ある人が、地元で番組をやってくれていることもあって、注目してくれるようになったんでしょう。現状、北海道だけでやってる芸人は、まだまだ厳しい状況。もっと密着したタレントがいるので、その子たちにも注目してほしいですね」
札幌に仕事なく決死の上京
――上京当時はどんな気持ちでしたか。
トシ「僕らはそんなに希望に満ちあふれて行った訳でもなかったというか…」
タカ「死に場所を求めて出て行ったようなもんですよ。あの時は」
トシ「極端に言うとですよ。正直、札幌で仕事がなかったんですよ」
タカ「最初は『道産子芸人第1号』みたいな感じで、いろいろ仕事をいただいたんですけど、実力もなかったですから。すぐそれがばれて『面白くないじゃないか』ってなり、どんどん、どんどん仕事が無くなって。年齢も26。30歳までには人生決めなきゃだめだな、いつまで続けるか…。最後に憧れだった東京でやってみて、だめだったら辞めよう。それだったら後悔もしないんじゃないかということで、本当、死に場所を求めて出てきましたね」
離れて分かる北海道のありがたみ
――上京して18年になります。
トシ「北海道の良さが、身にしみて分かるようになりました。若いころは自慢の土地とは思えなかった。北海道は面白いかと聞かれても『そんな面白くないですよ』って言ってみたり」
タカ「住んでいる時は分からないんですよ。1人暮らしをして、初めて母親のありがたみが分かったような気持ちです。東京に出て行って、札幌との違い、北海道との違いを感じて。やっぱり最後は北海道で死にたいなと思っています。こっちで頑張って、95歳ぐらに戻って、30年ぐらい、ゆっくり北海道で…」
トシ「何歳まで生きる予定だよ!深海魚のサメか、おい」
タカ「サメは200歳ぐらいになっても生きてますからね」
トシ「どんだけ生きようとしている」
YouTubeで北海道チャンネル構想
タカ「一人一人が、北海道のことを好きな道民全員が、SNSを使って、もっと発信していくべきですね。『地元にこんなものがある』とか。われわれもユーチューブで、北海道チャンネルをやろうと思っています」
トシ「初耳ですけど」
タカ「構想ですけどね。できるかどうかはスケジュール的な都合はありますけども…。ただ北海道のお店で、楽しく飲んでいる風景を撮って流すだけでも、北海道のためになると思うんですよ。こんなおいしいものがあるんだとかね。そういうことはやっていきたいです。そして、ずっと観光大使を続けたい。変えられたらもう、本当にどうなっちゃうか分かりません」
トシ「脅しじゃねーか。何するか分かりませんて」
タカ「わはははは。北海道のためなら何でもできますよ」
(参考:北海道新聞 有料記事)
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