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北海道の最北端の街・稚内は夏でも風が寒さを運んでくる。まして冬は。しかしそれが本当の北海道の冬。でもそこには暖かい施設と人情がある。
「風の街」稚内の威力を痛感…肌を刺す寒風、絶景も自慢
稚内副港を見渡す外気浴スペース。この日は雪が積もっていた(昨年12月1日)
まさに最北の港町を実感できる場所だ。
サウナ室の窓からは港に並ぶ水産加工場を望む。
火照った体を冷まそうと、露天風呂の脇で横になると、冷たい風が実に心地よい。ぼーっとした頭に、無数に飛び交うウミネコの甲高い鳴き声が響く。だが、この心地よさはそう長く続かない。訪れた12月1日午前の気温は2度。ものの数分で寒風が肌に刺さり、たまらず浴室へと駆け込んだ。
稚内市は年間平均風速が7メートルで、風速10メートルを超える日も90日以上を数えるという。さすがは「風の街」。その威力を痛感した。支配人の原清次さん(57)は、「半端じゃない風と体感温度に皆さん驚きますね」と笑みをこぼす。
2022年10月にオープン。市中心部にある商業施設「稚内副港市場」内に立地し、20年3月まで13年間営業していた温泉施設を改装した。湯上がりの休憩場所にはコミック5000冊やクッションが置かれ、ゆったり過ごすことができる。多い日には1日に800人ほどが訪れる。
サウナはごく一般的な電気ヒーターを使用したもので、最大15人ほどが入れてテレビを囲む。室温は基本的には90度としているが、月に2、3回は100度の「激熱」を体感できる日を設けている。
湯温によって分けられた内湯
屋外の外気浴スペースでは、柵越しに、稚内副港に停泊する漁船を間近に見られる。時間帯によっては、利尻島や礼文島とを結ぶフェリーの汽笛も聞こえてくる。
ツルッとした泉質の温泉も体を温めてくれるので、また風を浴びたくなってくる。浴室内の窓ガラス近くにも椅子が置かれているので、もちろん寒風に当たらなくても「ととのう」ことが可能だ。
昨年は、温泉の人気投票「温泉総選挙2024」(旅して日本プロジェクト主催)で「絶景部門」第3位に選ばれ、注目が集まる。原さんは「稚内ならではの風や景色の魅力を発信していく場所にしたい」と意気込んでいる。(中尾敏宏)
熱々の名物「チャーメン」
チャーメン
寒い冬にぴったりなのが、熱々の「チャーメン」(税込み1100円)だ。稚内の名物料理で、いわゆる「あんかけ焼きそば」。いためた中華麺の上に、タマネギや白菜などの野菜とイカやエビ、豚肉がたっぷりとのっている。塩っ気が利いていて、汗を流した後の体にしみる。
◇稚内市港1の副港市場2階。営業時間は午前10時~午後10時(最終入館午後9時半)で不定休。料金は大人680円、小中学生300円、未就学児100円(いずれも税込み)。客の9割が地元客だというが、夏場の観光シーズンには4割が観光客で、外国人も訪れるという。
(参考:読売新聞 オンライン)
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