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小樽で生まれ育った97歳の画家高橋好子さんの作品を集めた特別展が11日から市立小樽美術館(色内1)で開かれます。
タイトルは「高橋好子展 人生は遊び」。高橋さんは1943年(昭和18年)に小樽高等女学校(現小樽桜陽高)を卒業。市内の小中学校で教壇に立ちながら教え子の表情を緻密に描き、26歳で道展知事賞を受けた。
同じ展示室では「『いとしい』の美術~こどもを描いた絵~」展を同時開催。高橋さんが教員時代に描いた絵も並ぶ。
ともに4月20日まで、午前9時半~午後5時。一般600円、高校生や市内の70歳以上は300円。11日には高橋さんのインタビュー映像の上映会を開く。申し込みは同館、0134・34・0035へ。
真実求める好奇心、歩みの根本 高橋さんに聞く
自らの名を冠した特別展が地元・小樽で開かれる高橋好子さんに、思いを聞いた。
ーー2月には98歳です。
自分なりに懸命に絵を描いてきました。指導や助言をほとんど受けず自分流だったので、私の作品は時代の流れやブームとは関係ない。人生で体験したことの、いわば記録です。その時々にどういう経験をし、どういう考えを持っていたのかをたどれます。
ーーテーマは「いのち」なんですね。
いのちとは何かという「謎」を追究し続けてきました。きっかけは5歳の時、1歳に満たない弟を亡くした経験。生まれたり死んだりすることへの疑問を抱き、真実を求める好奇心が歩みの根本になっています。
ーー初期は水彩の人物画が中心。徐々に油彩の抽象画に移行します。
小中学校の教師をしていた頃、受け持った児童全員を人物画にしました。モデルになっている間は動かないようにしていた男の子が、休憩中に黒板で落書きをしたのです。コチコチに固まっていた小さな体が生き生きと躍動する。万物と同じく、いのちも常に揺れ動く。ありのままであり、自然なんですよ。
ーー絵の具のたらし込みなど美術技法でも「流動表現」を取り入れていると評されます。
京都や奈良を訪ね、仏教的な考えにも触れました。ただ写実的に描くのでなく、色や形を単純化したり厚塗りをしたりして、感じたことを表現するようになりました。油彩画も厚塗りの試行錯誤の先にあります。
ーーこれまでの歩みを振り返っての思いを。
人生は良いときも悪いときもある。自然な状態こそが大切です。好きな絵を描くことと好奇心が絡み合って、ここまで来ました。絵も私の人生も、この世で遊ばせてもらっている。例えばご近所の何気ない生活を送っている人たちこそ自然だと感じます。先生だと言えるでしょうね。
(参考:北海道新聞:夕方のニュース)
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