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ノルディックスキー・ジャンプでミラノ・コルティナ五輪混合団体の銅メダルを獲得した高梨沙羅選手が、北海道文化放送の取材に応え、現在の心境やオフシーズンの過ごし方、趣味、自己管理、ミラノ・コルティナ五輪の仲間やメンバー選出の裏側について語ってくれました。
高梨沙羅、混合団体メンバー打診に「はい」と言えなかった――ミラノ・コルティナ五輪、葛藤の1日
北海道でのオフ、祖父母にメダルをかけてあげたい

取材を受ける高梨沙羅選手
――改めまして、ミラノ・コルティナ五輪銅メダル獲得おめでとうございます。そして北海道に戻られて、いかがですか。
「着いた瞬間から北海道帰ってきたなっていう気持ちになりますね。この風の感じとか気温とか。飛行機で飛んできて、上から北海道の大地を見ながら入ってくるので、そこで『あぁ北海道だな』と思いながら帰ってきました」
――地元で楽しみにしていることはありますか。
「祖父母に1年ぶりに会うので、メダルをかけてあげるのがすごく楽しみです」
――北海道で食べたい、楽しみなものなどはありますか。
「やはり北海道は海鮮が美味しいと思うので、海鮮も野菜もたくさん食べて帰りたいなと」
――心身ともにプレッシャーのかかるシーズンを終えて迎えられたオフシーズン。どんな気持ちで過ごされていますか。
「最終戦が3月末まであって、帰ってきたのが 3月31日の夜で、そこからご挨拶に行かせていただいたり、お仕事をさせていただいたりで、毎日が過ぎてしまうなという感覚ですけど、今回ようやく北海道に帰ってこられて、1日ゆっくりできる時間もあるので、祖母に会ったり、地元の方々に会ったり、小学校の頃に行っていた食堂にもメダルを見せに行けたらと思います」
――オフシーズンに解禁することや、生活スタイルの変化はありますか。
「時計を気にせずに寝られるというのはすごく幸せだなと思いますね。早起きは得意な方ではなくて、試合に合わせて何時に起きるというのを決めているので、朝早い時もありますし、ナイトゲームならお昼頃に合わせて起きる時もある中で、やはり帰ってきてこのオフシーズンというのは、時間を決めずに寝られるので、すごくオフを満喫できるとは思います」
――目覚まし時計をかけずに何時ぐらいまで寝ていられそうですか。
「12時ぐらいまでは全然。結構いきますね」
フィルムカメラで残す“自分へのお土産”

北海道文化放送のロビーにて
――他に、自分がリラックスできる趣味などはありますか。
「写真を撮るのが好きなので、その街を歩いて写真を撮りに行ったりとか、帰ってきた時がちょうど桜の時期だったりもしたので、そういうのを眺めたりとか。とても日本の四季を感じられる時期に帰ってこられて良かったと思います」
――SNS にもご自身のカメラで撮ったおしゃれな写真を載せていますよね。
「何枚か投稿させていただいています。お気に入りのカメラで、フィルムカメラでよく撮りますが、今はちょっと故障していて…」
――あえてのフィルムカメラということですか。
「フィルムカメラが好きで、確認できない感じというか、海外で撮りためていった写真を、お土産として自分に撮っているような感じはします。帰ってきた時に現像して見返せるので。お土産を撮りためているみたいな感覚は好きですね」
――以前、「人」というよりは「風景」を撮るのが好きとおっしゃっていましたが。
「そうですね、人を撮るのも好きですけど、確認する作業が入るので。『撮っていいですか?』とか、ちょっと今言えないなっていう時は遠慮しますが、この人なら許してくれそうだなっていう人は、撮ってから『すみません。とても綺麗だったので撮らせていただいたんですけど、大丈夫ですか?』っていう確認をします」
――それは競技の仲間を撮る、ということですか。
「仲間も撮ることがありますし、散歩に行っている時に街の中にいる人とか」
体重維持のために大切にしている「お米」と食事のバランス
――競技を続ける上で習慣になっていること、ずっと食べているものはありますか。
「試合に向けての1日のルーティンっていうのはあまり崩れていないので、同じような感じで時間を追っていますが、オフの時も体重を維持していかなきゃいけないので、お米を食べるようにしています。体調管理という面でも。お米が結構、体重を保つのに必要な食べ物になってくるので、ご飯と味噌汁とか、おかずで食べたりとかします」
――お肌も本当にお綺麗ですけど、私たちも取り入れられるような、おすすめの食べ物や習慣などあれば教えてください。
「肌のために頑張って食べるというものは無いですが、体調管理という面で、野菜とかタンパク質とか糖質をバランスよく食べるように心がけています」
仲間に支えられて飛べた2本、そして「はい」と言えなかった1日

高梨沙羅選手
――オリンピックの話もぜひ聞かせてください。高梨さんにとっては 4大会連続のオリンピックでした。少し時間が経ちましたが、今回はどんな大会になりましたか?
「4年前は、まさか自分がもう一度スキージャンプを続けるとは思っていないですし、オリンピックの舞台にもう一度立てるとも考えられていなかったので。その舞台に立てたのも、本当にチームの支えであったり、遠くから応援してくださる皆様の力でオリンピックの舞台にまた立つことができて、混合団体で銅メダルを取らせていただいたので、本当にすごく感謝の気持ちでいっぱいで、みんなの思いが詰まったメダルを北海道に持って帰ってくることができて、ほっとしています」
――『自分の力以上のジャンプが出せた』という言葉が印象的でしたが、改めてその思いはどこから来たのでしょうか
「やっぱり、その試合に出る前日からすごく緊張していて、周りのチームのみんなにもちょっと気を使わせてしまったかなと思います。チーム戦は4人で戦うので、1人目が丸山選手。2人目が小林選手で、3番目が私で、4番目が二階堂選手でしたが、1本目の(丸山)希ちゃんのジャンプからもすごくパワーをいただいて、2人目の小林選手もずっと同じリフトに乗っていてくれたんですけど、何を言うわけでもなく、ずっと寄り添っていてくれたり。飛ぶ前にスタート台に行くっていう時に、二階堂選手が肩を抱えて『僕が何とかするんで、沙羅さんは楽しく飛んでください』って言ってくださった言葉とか、すごくチームに元気づけられ、支えられて飛べた2本なので、本当に自分が実力以上のものが出せた2本だったと思います」
――ジャンプファンとして見てきた中で、すごくいいチームでした。
「そうですね。このチームだからこそ取れたメダルですし、チーム以外の、遠くから応援してくださる方々の声や力が届いてのメダルだったと思うので。本当にチームの雰囲気も1年間ずっとそれで戦わせていただけて。普通に家族以上に一緒にいる、もはや家族なので、その中に自分も居られて幸せな時間でした」

高梨沙羅選手とインタビュアーの北海道文化放送・中村剛大アナと千須和侑里子アナ
――それぞれの役割みたいなものがすごく際立っていたのかなと思いましたが。
「やっぱりみんなキャラが立っているというか、個性的な人たちばかりなので、私の役割もおのずと生まれてくるのかなと思いますけど、やっぱり二階堂選手が場を盛り上げてくれる隊長みたいな感じ。それにボケを突っ込むみたいな感じの小林選手の役割だったり、しっかり者の丸山選手であったり。本当にこの文言がうまくはまる人たちって感じです」
――高梨さんはどういうポジションになりますか。
「私はちょっと、どうですかね。ポジションをつけてもらいたいです。ちょっと自分で自分のことは分からないですね」
――二階堂選手みたいな立ち位置の選手って近年いなかったですよね
「なんかこう、勢いで押し切るみたいな、明るい雰囲気の役割の子がいなかったかなって思うので、すごく明るいチームだと思います」
――プレッシャーがかかる大舞台で、その明るさや仲間の存在はやはり大きいでしょうか。
「そうですね、助けられますね。精神面が大事なスポーツでもあるので、そういった中でのびのびと競技をさせていただける環境もすごくありがたいですね」
――大きい舞台を乗り越えてきたご自身なりのプレッシャーや緊張との向き合い方、乗り越え方はつかんでいますか。
「なかなか緊張をコントロールするって難しいことだと思うんですけど、緊張感っていうものはやはり必要なものだと思うので、いい緊張を保ちながら飛べるのがベストだと思います」
――高梨さんが飛んだ後、伊藤有希さんが出迎えてくれたシーンは忘れられない、心を打つシーンでした。
「やはり4年前に有希さんと取るはずだったメダルだったので、メダルを取れたのが確定した瞬間に寄り添って抱きしめてくださったので、そこで何を話したとかではないんですけど、やはり自然と感情が抑えられなくて、涙が出てしまった感じではあります」
――「4年前の悔しさはオリンピックでしか返せない」と言っていましたが、そのあたりの思いは。
「間違いないと思います。やはりミックス(混合団体)に選ばれてからの1日がすごく長く感じましたし、ものすごく緊張していたと思いますが、寄り添ってくれる有希さんの存在、支えてくれるチームの存在のおかげで飛ばせてもらえたので、そういう場にいられたことが本当に幸せです」
――ノーマルヒルを飛んだ後での混合団体でも緊張はありましたか。
「ノーマルヒル飛んでから選手が選ばれるという中で、ミックスの選手に選んでいただきましたが、そこで『はい』とは即決できませんでした。その次の日もトレーニングができたので、『トレーニングを見て判断してください』という回答をさせていただきました。そこで飛んで、『やはりミックスをお願いします』とおっしゃっていただいて、そこで覚悟を決めて。自分の全力を投じた1日だったかなと思います」
――打診を受けた時に『はい』と即答できなかったのは、どんな思いがあったからですか。
「完全に自信があったわけでもないので、そこでもう1日、判断をして欲しいという中で、変えさせていただきました」
――そこで覚悟を決めてメダルを獲得した今、気持ちが一歩前に向いた実感はありますか。
「メダルを取ることができて、みんなで取ったメダルだと思いますし、そこで4年前をいろいろ思うことがありますけど、そこでピリオドが打てたかなとは思います」
(参考:UHBニュース)


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