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利雪
北海道をはじめ、雪国は半年ほど雪に埋もれて、生活が大変だろうな、と思っていませんか?
実は私の北海道に来る前はそう思っていました。だから車で走れるのは半年だけだ、とも思っていました。そこで、私は北海道で生活するには、馬を飼おう、と決意していました。馬なら雪道も大丈夫だし、馬に乗って通勤するのも悪くない、なんてことまで考えていたのです。
ですが、車は一年中乗れるし、冬だって暖房の部屋で飲むビールは格別です!
商品価値を高める
北海道の各自治体ではCO2を排出しない自然エネルギーとして、雪を利用することを考えるようになりました。
例えば岩見沢市の農家ではビニールハウス内の冷水循環のために新たにラジエターを取り付けています。暑さに弱いイチゴ農家は、雪の冷水によって、イチゴの苗が夏の暑さで弱らずに実を付けることができています。
北空知花き生産組合はブライダルなどで人気のスノーボールというアジサイに似た花を栽培していますが、通常は5月に出荷されるところ花が咲く時期を1か月以上遅らせることで需要を取り込んでいます。
(スノーボールの花)
これは、およそ500トンの雪を積み上げて内部の温度を1度に保った「雪室」を使っていて、40センチから80センチに切りそろえたスノーボールの枝5500本が運び込んで置くものです。
枝は寒さによって花芽が開くのが抑制され、6月初めに雪室から出して3週間ほど常温で開花準備をさせたあと、6月末から7月初めにかけて市場に出荷されるということです。
美唄市農業協同組合では、雪冷蔵システムを使用して玄米を貯蔵しています。その貯蔵量としては国内最大です。雪室は温度と湿度を一定に保てるため、農産物の酸化を遅らせ、長期間貯蔵することで旨みをアップさせる効果があります。
冷房として活用
岩見沢や沼田町、さらには苫小牧他多くの市町村の高齢者施設で、貯雪庫を併設し、施設内のホール、娯楽室といった入所者が憩いの場として利用する居室空間に融雪水を利用した冷水循環方式による雪冷房を導入しています。
(屋外に造られた貯雪場)
また、冷風循環方式により貯雪庫から冷熱が供給される貯蔵庫を設けており、日常及び非常時用の食料等を冷蔵保管することができるようにもなっています。
モエレ沼公園のガラスのピラミッド
世界的な建築家「イサム・ノグチ」氏が設計した「モエレ沼公園」にあるガラスのピラミッドも公園敷地内の雪を貯蔵庫内に蓄え、全館を「熱交換冷水循環方式」で6月~9月の4ヶ月間冷房を行っています。
平成17年度から平成19年度の3年間は、雪の冷熱のみを冷房に使用していましたので、CO2排出量を毎年約30トン削減する環境にやさしい空調を実現しているのです。
このように雪を利用した産業や生活文化に自然の力を取り入れた、地球にやさしい環境を築き上げているのですよ。
どうです、雪ってすごいでしょう。
(参考:北海道経済産業局・COOL ENERGY5、NHKニュース、モエレ沼公園公式HP より)
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