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「髭男爵」ひぐち君が余市町のワイン大使を務めています。何回かレポートも書き上げていますが、今回はその一つの報告です。おいしい話も付いています。
“ニシンは余市の魂”という、鮮魚店「一鱗(うろこ)新岡商店」の新岡崇さんの言葉に感銘を受け、「ニシンのことをもっと知りたい」と、2月初旬に町内各所を訪れました。
まずは歴史からと、1880年(明治13年)ごろに創立された旧余市福原漁場(町浜中町)へ。あれ? ここ知ってると思ったら、NHKの連続テレビ小説「マッサン」に登場したニシン御殿のモデルになった場所です。ドラマの聖地巡礼したい方はぜひ行ってみてください。
かつてのニシン漁はギャンブル性が高く、現在のお金にすると一晩で1億円くらい稼ぐこともあったんだとか。数の子ってそんな高価なの?と思いきや、その価値は肥料としてのものです。北陸や西日本各地で藍染めの藍や綿花の栽培などに使用されていたといいます。その品質の高さから“金肥”と呼ばれ、大正時代には米の価格より高かった年もあったそうです。
ちなみに、ソーラン節はニシン漁の作業歌です。大きな網でニシンをくみ上げる際、波の動きに合わせて歌うのですが、この瞬間に1人300キロほどの力が必要になるといいます。上手な歌い手がいると漁獲量が上がるそうで、スカウトされることもあったそうです。
時は流れ、海況の変化なのか、1955年ごろからニシンはとれなくなり、“幻の魚”になってしまいます。しかし、稚魚の放流事業により、数年前から少しずつ戻ってきています。
ということで、次は余市水産物地方卸売市場へ。この日はいつもより少ないとのことでしたが、並んでいたニシンは1千箱(1箱5キロ)。オスとメスできれいに仕分けされていました。数の子を持つメスのほうが高値ですが、実は身はオスのほうがおいしいとこっそり教えてもらいました(笑)。
最後はJR余市駅前のオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)「Yoichi LOOP」の仁木偉シェフ考案の「糠(ぬか)ニシンの炊き込みご飯」を特別に作ってもらい、余市のワインとペアリングしました。ソムリエの倉富宗さんがセレクトしてくれたのは、ケルナー、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールの3種。バターの芳ばしい香りに誘われると、ニシンの塩味がワインの果実味を引き立ててくれて、口内は幸福感でいっぱいになりました。
実はこれ、「スイカに塩」のパターン。さらに、糠がピノ・ノワールの軽やかなタンニンを受け入れてくれ、心地いい余韻が続きました。ワインが飲みたくなる。ぜひお試しください。
糠ニシンの炊き込みご飯の作り方
お米 3合、糠ニシン 1匹、しょうが 20グラム、バター 少々、黒コショウ 少々
《1》糠ニシンのぬかを水で洗い流し、水気を取る。
《2》ニシンの頭を切り落とし、三枚に下ろす。
《3》ニシンは骨が多いので、ピンセットで骨抜き(もしくは骨切り)。
《4》お米と水、しょうがを加え、強火で火にかける。
《5》沸騰してきたら、お米を混ぜ、ふたをして弱火で14分(10分ほど経過したところで、ニシンを乗せる)。
《6》火を止めて、4~5分蒸らす。
《7》仕上げに、バターと黒コショウをお好みで。
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