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国鉄時代に活躍したディーゼル車「キハ40」が鉄道ファンの熱望で蘇りました。
臨時列車で全道を駆け抜ける姿のレポートです。
赤色とクリーム色のツートンカラーに朱色の1色塗り―。懐かしい塗装を施した“国鉄色”の列車がよみがえり、鉄道ファンや沿線の注目を集めています。JR北海道旭川運転所に所属する普通列車用ディーゼルカー「キハ40」31両のうち、4両がJRの前身である国鉄時代の車両塗装で道内を疾走。9月に相次いで運行された貸し切りの臨時列車をカメラで追った報告です。(写真映像部 伊丹恒)
国鉄色の車両は通常、普通列車として旭川を拠点に走っています。9月に国鉄色の車両を使った貸し切り列車が4本運行され、普段は乗り入れない室蘭や稚内などにも姿を見せました。
国鉄時代のディーゼルカーの塗装は「視認性を損なわず、かつ日本の風景になじむ」ことを考慮し、赤系統の色が多かったということです。ツートンカラーの車両は主に1960~70年代、朱色は80年代に活躍しました。登場から40年を超えるキハ40は、デビュー時は朱色でしたが、現在はJR北海道色と言われる白色が主流になっています。
JR北海道は2010年、リバイバルブームに乗り、3両をキハ40のデビュー当時の朱色に塗り替えました。21年は釧路駅開業120周年などを記念し、さらに2両をツートンカラーにしました。このうち4両が今春、釧路運輸車両所から旭川運転所に転属。これを機会に道北の鉄道ファンなどが相次いで、国鉄色の車両を使った貸し切り列車の運行を企画し、9月に運行が集中しました。
9月4日に名寄―留萌間に列車を走らせた名寄市の飲食店経営志々見敦さん(48)は、1980年前後に見られ、それぞれ違う塗装の車両を連結した「混色編成」を自らの企画で再現しました。ちぐはぐに見える2両の混色編成をJRに指定したのは「異なる色の車両が連結や切り離しを繰り返し、全道の人たちの足となって働いていた時代の編成を再現したかった」からだと言います。友人ら65人と一緒に特別仕立ての列車で、往復の日帰り旅行を楽しみました。
ファンから「タラコ」と呼ばれ親しまれている=9月23日
23日から2日間、宗谷線の利用活性化を狙い、名寄―稚内間で沿線住民に限定した貸し切り列車が走りました。企画した宗谷本線マイレール意識向上事業実行委員会事務局員で、上川管内音威子府村職員の横山貴志さん(37)は、JRに朱色の車両をリクエストしました。「この色の車両は30年ぐらい前まで宗谷線でも走っていました。通学などで鉄道を使っていた人に『懐かしいな』と感じてもえたら」との思いからでした。
19日は石北線北見―上川間、24日は函館線と室蘭線の旭川―室蘭間でも国鉄色の臨時列車が運行されました。JR北海道観光開発部長の勝又康郎さん(53)は「国鉄色の車両は道外のファンにも人気がありますね。昭和末期への郷愁なのかな。乗るため、撮るため、多くの方に来ていただいていると聞いてます」と語っています。
国鉄からJR北海道へ系列車も含め157両が引き継がれたキハ40。現在も残るのは65両になりました。国鉄色の列車が、さらに新たな企画で各地に赴き、元気だった頃の鉄道風景を沿線によみがえらせてほしいとファンは願っています。
大雨の中、地域住民が乗客をもてなした=9月24日
ツアー客を楽しませる窓越しの夕食受け取り。国鉄時代に設計された古い車両ならではの企画=9月24日、JR室蘭線苫小牧駅
(参考:北海道新聞ディープに歩こう)
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