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なまらあちこち北海道|万波の真価問われる、あの1号

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エスコンフィールドでの記念すべき100号は、日ハムの万波中正選手が放ちました。
このホームランを機に今年の万波選手への期待度を上げてみました。

真価問われる万波の今季1号 読みさえた一打に進化の兆し

ホームランの後、新庄監督(左)とハイタッチをする万波。新庄監督は万波の全打順本塁打について「(いろいろな打順で起用し)何かくれます?僕に」と報道陣を笑わせた=4月3日、エスコンフィールド北海道(村本典之撮影)
エスコンフィールド北海道通算100号となる本塁打を放つ万波

 五回2死一、三塁。初回に自らの適時打で先制するも、その後は膠着(こうちゃく)状態が続き、追加点の欲しい場面だった。
 決着は1球でついた。マウンドには楽天先発の岸孝之。真ん中低めに投じられた初球の108キロのカーブを捉えると、打球は高々と上がって、そのまま左中間スタンドへ吸い込まれた。
 殊勲の一打に、万波は手応え十分と右手を力強く突き上げた。エスコン通算100号については「ファイターズの球場なので、ファイターズの選手が打てたのはすごく良いこと」と胸を張った。
五回2死一、三塁、3ランを放ちダイヤモンドを回る万波(右)=4月3日、エスコンフィールド北海道(村本典之撮影)

五回2死一、三塁、3ランを放ちダイヤモンドを回る万波(右)

 読み勝ちだった。
 同じ楽天との対戦だった前日2日。楽天バッテリーは万波に対し、警戒感を示していた。
 三回の第2打席。昨季まで同僚だったコディ・ポンセが、初球に投じたのは126キロのカーブ。さらに、九回には、今季から楽天の新守護神を担う則本昂大が同じく初球に103キロのカーブを投じた。
 いずれも150キロ超の直球を持ち味とする本格派タイプ。タイミングを外す緩いボールで、万波の長打に細心の注意を払っていた。
 その配球を万波は当然頭に入れていた。ヒーローインタビューで「昨日から初球にかなりカーブを通されていたので思い切って狙いました」。さらに試合後の取材では「細かく言うと考え方がばれてしまうので」と苦笑いを浮かべつつ、「昨日からカーブにうまいことやられていた。一本釣りとまではいかないけど、自分なりの根拠でカーブの可能性が高いかなと思って(打席へ)入りました」と一振りで仕留めた。

好相性の岸の得意球を仕留める

 さらに、万波が迷いなく打席に臨めたのは投手との相性もあった。岸とは昨季9打数4安打で打率4割4分4厘、1本塁打と打ち込んでいた。
 そして、岸の得意球はカーブでもある。万波は「(相性の良さを)自分自身感じていて、1打席目(に放った先制打)のチェンジアップも簡単な球ではなかったがうまくバットに乗ってくれたのは相性の良さが出たようなヒット。
 きょうは積極的にいこうと思っていたのが良い結果につながった」と状況も後押しし、メモリアルアーチにつながった。

精神面の成長実感

 開幕5試合目で飛び出した今季の初本塁打。リーグ4位の25本だった昨季より2試合速いペースだ。結果を残した昨季を経て、今季は精神面で成長を自覚する。〝2年目〟の進化だ。
 この日はうまくはまった読みも、凡退が多い野球ではうまくいかないことがほとんど。ただ、割り切りについて万波は「結果の受け止め方は去年より穏やかになった。出た結果を受け入れることができるようになっている」と語る。
エスコンフィールド北海道通算100号となる本塁打を放つ万波=4月3日、エスコンフィールド北海道(桜田史宏撮影)
 この試合まで、開幕から4試合連続安打と決して不調というわけではなかった。ただ、万波特有の放物線を描く高弾道の当たりは少なく、「打撃練習でも打球が上がっていなかったので、もうちょっと(初本塁打までには時間がかかる)かな」と分析していた。
 それでも「なかなか状態が上がらない中で、自分の引き出しでできることをやろうと思っていた。良い結果でも悪い結果でも、なるべく一喜一憂しないようにと。そういう姿勢が、きょうの試合につながった」と昨季、主力として1年間の長いシーズンを戦い抜いた経験が糧となっていることを強調する。

全打順本塁打を達成

 万波はこの本塁打で球場の歴史と同時に、日本プロ野球界の珍しい記録にも名を残した。3番打者として放ったこの1本でプロ野球史上23人目の全打順での本塁打を達成。
 2021年6月13日のDeNA戦(札幌ドーム)で「7番・中堅」で先発出場してプロ1号を放ってから、通算45本目で達成した。ただ本人は「感想は特にない。何も知らなかったし、他の打順で打っていることも知らなかった。まあ、良いんじゃないですか」と淡々と話した。

3番の座り心地

 最後まで本塁打を放っていなかった3番という打順。今季は開幕から全試合で任されている。
 「野球人生であまり打ったことがない打順で新鮮」という。そして「僕自身、多く打席に立ちたい意識はあった。初回から回ってくる1、2、3番は5打席立つ可能性が高い打順。そこを任せてもらえるのは、監督が打席を多く与えたいと考えてくれているからだと思うので素直にうれしい。今後1本でも多くホームランを打ちたいので打席が回ってくるのはうれしいこと。波を減らして、ずっと座れるように頑張りたい」と座り心地は上々のようだ。

ホームランの後、新庄監督(左)とハイタッチをする万波。

 

新庄監督は万波の全打順本塁打について「(いろいろな打順で起用し)何かくれます?
僕に」と報道陣を笑わせた。

真価問われる年

 昨季の活躍は本物だったのか―。今季の万波に注がれる視線、他球団のマークは厳しいものになる。
 万波自身も強く自覚する。「ちょっとやれた後の2年目はすごく大事。いろいろなところでシビアな目で見られると思っている。結果を出して選手として1段階も2段階もレベルアップしたい」と進化を止めない。
 自らの打撃で、今季の本拠地初勝利を地元ファンに贈り、ヒーローインタビューに呼ばれた万波。昨季、わずか1本差で逃した本塁打王への意欲を聞かれ、「もちろん、そのタイトルを一番に目指してやっているんで取る気満々ですね」と答え、ファンの歓声が大きくなると、さらに「今季は40本打って優勝します!」と高らかに宣言。チームの中心選手になっていることを改めて印象付ける一夜にもなった。
(参考:北海道新聞 Fインサイド)

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