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前略、新庄監督。エスコンF北海道は野球人の夢と理想を体現したボールパークですね。
OTTO!編集長、クラフトビールにも酔いしれ観戦記
これぞ「世界がまだ見ぬボールパーク」だ!
天然芝のグラウンドは美しいだけでなく、アスリートファーストの理念を感じさせる。昨年までの本拠地、札幌ドームはJリーグのコンサドーレ札幌のホームを兼ねていた。サッカーの試合開催時は天然芝、野球の試合時は人工芝に切り替える。野球用の人工芝は、迅速に撤去できる巻き取り式のため他球場の人工芝より薄く、選手からは「足腰に負担が大きい」との声が絶えなかったという。
ホーム、ビジター両チームのブルペンは両翼の外野フェンス裏に設けられており、外野席から間近に見下ろせる。
にわかに、ある記憶がよみがえった。
2011年3月、米フロリダ州タンパ。ニューヨーク・ヤンキースが春キャンプを張る球場ジョージ・M・スタインブレナー・フィールドを訪れた。エスコンと同じように客席から間近に見下ろせるブルペンで、後に野球殿堂入りするヤンキースの名クローザー、マリアーノ・リベラ投手が投球練習をしていた。
リベラ投手のカットボールの球筋に目を奪われていると、チームの裏方のスタッフが筆者に声を掛てくれた。
「日本から来たのか? いま日本は地震で大変なんだろう? みんなに『グッドラック』と伝えてほしい」
当時は東日本大震災の発生直後。ブルペンで目の当たりにしたリベラ投手の鋭いカットボールの軌道と、スタッフの温かい人柄が記憶に刻み込まれた。それもこれもブルペンと客席の「間近さ」が生んだストーリーだ。エスコンのブルペンをのぞき込む子どもたちにも、胸ときめく思い出が紡がれていくことを願ってやまない。
今春オープンしたエスコンは、サウナや温泉、ホテルを併設し、子どもたちが歓声を挙げていたキッズエリアも楽しそう。コアな野球ファンだけでなく、その家族や友人も誘える施設を目指しているのだろう。
「世界がまだ見ぬボールパーク」
少子化が進む中で野球の競技人口の減少が懸念される中、重要な視点である。
今回の取材には、もう一つ重要なミッションがあった。球場内の醸造所で作られた世界初のクラフトビールの試飲である。

世界初の球場内ビール醸造所に喉が鳴る
「そらとしば Big-Fly Saison」
「そらとしばシーズナルビール」
案内された開放的なルーフトップ席はバックスクリーン脇に位置し、フィールドを一望できる。天然芝の緑と澄み切った北海道の青空のコントラストに、琥珀色のビールが映える。
喉が鳴る。3銘柄を一口ずつ喉の置くに流し込む。ぷはーっ。うまくないわけがない。
中でも筆者の好みは、最初に飲んだPlay Ball! Aleだった。
セッションIPAというタイプのビールで、軽快な飲み口とホップ由来のさわやかな香り、心地よい苦味が特徴だ。ホップの強烈な苦味と鮮烈な香りが特徴の同社のクラフトビール「インドの青鬼」を愛好していると酒井さんに告げると、「そうでしょうね。IPA系の苦味がお好きなんですね」との言葉が返ってきた。
レストランの敷地内にはビールを醸造する大きなタンクが並んでいる。酒井さんほか、醸造担当のブリューワー児玉ノンナさん(27)と須江弘明さん(40)は昨年12月、長野県から北海道に移り住み、オリジナルビールの開発を進めてきたという。
「北海道の空と天然芝のフィールドが見渡せるここでしか飲めないビールの味を目指しました。作り手としては、飲んでくださるお客さんの顔を見ながらビールを作れるのがいいですね」(児玉さん)。作り手の思いに触れると、クラフトビールの味わいの深い部分まで分かる気がしてくるというものだ。

本拠地移転へ男たちの群像、新庄監督の誕生秘話も

野球を愛する一人の読者として、新スタジアム建設に情熱を注いだ人々の思いに触れ、胸が熱くなった。数々の困難を乗り越えきたエピソードに触れると、「世界がまだ見ぬボールパーク」を目指した思いの強さに感服する。
この春、船出した西スポWEB OTTO!も「新しい野球観戦のスタンダードを提供する」という大きな旗印を掲げた。サイト内のコーナー「タカ番ウラトーク」がそのひとつ。ホークス担当記者が独自情報を試合中に次々発信するコーナーで、新しい試合観戦の楽しみを提案している。新庄監督に「これ面白い!」と言っていただくのが、ひそかな目標となっている。
(参考:西日本スポーツ新聞)
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アンビシャス オッカイドウにボールパークを創った男たち男たちう鈴木忠平著、文芸春秋はこちらから調べる
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