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7年ぶり300トン超え 海水温が要因か
道南のスルメイカがさっぱりというこの時期、苫小牧漁港の本年度のスルメイカの水揚げ量は364トンと、前年度の113トンから3倍以上に増えた。
道南沖などで不漁が続く一方、苫小牧沖で好調だった要因について、専門家は「イカの生息に適した海水温が形成されていた」と分析している。
苫小牧沖のスルメイカ漁は6~12月に行われ、8~11月ごろが最盛期。苫小牧漁協の漁船は操業せず、東北や道南地方からの外来船が苫小牧漁港に生鮮スルメイカを水揚げする。300トンを超えたのは7年ぶり。
同漁港の水揚げ量は2014年度まで年間400トン超えが続いたが、近年は減少傾向で、15年と19年は200トン台、それ以外は150トン以下に低迷していた。
イカの生態に詳しい函館頭足類科学研究所は、苫小牧沖の水深50メートル付近で昨年10月末ごろから海水温がイカの生息に適した12~15度の状態が続き、より低温だった日高沖を避けたと指摘。「東シナ海で生まれ、太平洋を北上する冬生まれ群のイカが長くとどまったのではないか」とみる。
スルメイカの水揚げで知られる道南近海では、函館市水産物地方卸売市場の21年6月~22年1月末の生鮮取扱量が、漁期ごとの統計を取り始めた05年以降、2番目に少ない491トンだった。同研究所は全道的な資源量は減少傾向にあるとし、今後も苫小牧沖で好調が続くかについては「海水温上昇などの環境変化もあり見通せない」としている。
海水温の変化は、様々な現象を引き起こし、漁業関係者を悩ませている。
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