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なまらあちこち北海道|トンネル内のつららをやっつけろ、JR室蘭線・静狩

北海道

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JRの線路で、厄介なのは冬のトンネルです。土中の水分がつららとなり、トンネル内で大きくなってしまうと、それが思わぬ事故につながることがあるからです。それを除去するにはどのような方法が取られているのでしょうか。

トンネル内のつらら“やっつけろ”JR室蘭線静狩―大岸で毎日手作業

プラスチック製の棒でトンネル内のつららを落とす作業員

プラスチック製の棒でトンネル内のつららを落とす作業員

 雪解け水がしみ出すなどしてトンネル内にできるつららは、列車の窓ガラス破損などにつながる〝やっかい者〟だ。JR室蘭線静狩(長万部町)―大岸(胆振管内豊浦町)の往復約30キロ(単線、複線含め)には計14カ所・総延長17キロのトンネルがあり、同区間を担当するJR北海道函館保線所長万部保線管理室の職員らが毎日つららを取り除いている。冬場の安全運行を支える現場を2月末に取材した。

冬の安全運行支える

 2月28日午前9時10分過ぎ。JR静狩駅から約1キロ離れた線路を函館行きの特急北斗が通過した。その直後、4人の作業員が「レールカート」と呼ばれるエンジン式の台車2台をレールに乗せ、豊浦方向へ走り出した。
 しばらくは断崖沿いの線路が続き、眼前に広がる噴火湾からは強風が吹き付ける。強風や大雪など天候にかかわらず、作業は12月中旬から3月中旬まで、列車の通過が少ない午前1時過ぎと同9時過ぎの1日2回行う。
 最初に到着した現場は函館方面へ向かう上り線の「第1静狩トンネル」。作業員はライトでくまなく壁を照らし、つららがないか確認。天井付近から線路に向かって伸びる長さ約30センチのつららを数本発見すると、カートを止めて線路へ降り、先端がくわのようになっているプラスチック棒でたたき落とす。作業していた長万部保線管理室所長代理の坪田弘之さん(49)は「1回落としても、次の作業までに20~30センチの長さに伸びていることもある。特に入り口は日中日差しが入るため、つららができやすい」と教えてくれた。
 静狩―礼文(豊浦町)間は上下線でトンネルが別々のため同区間を往復しなければならず、1回の作業時間は約4時間にのぼる。同区間には貨物を含め1日70本近い列車が通過するため、カートを待避させるタイミングなど時間管理の誤りは許されない。
レールカートに乗り、線路を移動する作業員

レールカートに乗り、線路を移動する作業員

 車両とトンネルの壁の間隔は1メートル未満の場所もあり、つららのわずかな見逃しも事故につながる。限られた時間で早く、確実につららを落とせるかが重要だ。
 トンネル内を歩くと、レールの敷石は天井から落ちた水滴が凍って滑りやすく、何度も足をとられそうになった。放置するとコブ状の塊になり、脱線の原因にもなるため作業員は、つらら以外の点検にも注意を払う。列車の運転士が危険なつららを見つけて通報することもあり、作業時間以外でも即座に出動できる勤務態勢をとっているという。
 JR北海道によると、静狩―大岸間のトンネルのうち12カ所は旧国鉄時代に造られ、つららの原因となるひび割れなど、老朽化が目立つ。
 長万部保線管理室の作業員は協力会社を含め約20人。3日おきに交代で勤務している。暖かい日の続いた2月は、つららの数が平年の5分の1ほどだったが「天候はめまぐるしく変わる。気を抜かずに作業を続けなければ」と坪田さん。旅客、物流の大動脈である線路の安全を守る使命感を感じた。
(参考:北海道新聞ニュースレター)
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