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夕張に手作りのかまくらを作り続けて42年の人がいる。子どもたちへの遊び場のプレゼントだ。もちろん、大人も楽しむし、女優の寺島しのぶさんも訪れたこともある。
夕張市沼ノ沢の自宅庭に42年にわたり、かまくらを手作りしている元炭鉱マンがいる。平和鉱や新鉱、真谷地鉱で働いた田村秀之さん(91)。
かまくらは地域の冬の名物となっており、田村さんは「子どもたちや長年の友人らとかまくらの中で語り合うのが楽しい」という。だが90歳を超え、「そろそろやめようか」と漏らすようになった。周囲の人たちは「まだまだ続けてほしい」と願っている。
女優の寺島しのぶさんも訪問
今季のかまくらは幅4メートル、奥行き3メートル、高さ3メートルほどに雪を積み上げ、スコップで中をくり抜き、直径約1.8メートルほどの空間を作る。暖気で絶えず天井が下がってくるため、かまくらの横に設けた雪の階段を上って雪を足し、補強するのが大変という。
内部をパイプで補強した天井には発光ダイオード(LED)製のライトを付けた。さらに遊びに来た子どものおやつ用にと、菓子などをぶら下げた。「昔、中で炭火でジンギスカンをしてみたら、天井の雪が解けてきて大変だった」と田村さんは笑う。
かまくらを作り始めたのは、炭鉱で培った頑健な体を誇った50歳の時だった。「かまくらや車庫の屋根からスロープを作ったら、近所の子どもが喜んでくれてやめられなくなった」という。
2005年にゆうばり国際ファンタスティック映画祭の特別上映会が沼ノ沢地区で開催された時は、ゲストの女優寺島しのぶさんが立ち寄り、かまくらの中で住民と交流した。
田村さんの妻ミイさん(86)は「近所の人が持ってきてくれたたくあんが、ほんの少し切り離されてなく、箸でつかむとつながっていたものもあり、寺島さんと一緒に大笑いした。甘酒を飲んだり、みんなで記念撮影したり、本当に気さくないい人だった」と振り返る。
だが今季は特に少雪で、昨年12月から雪をかき集めては足で踏み固める作業が2カ月ほど続いた。田村さんは「さすがにきつかった」と言い、「実家に戻って来た息子(65)にでも手伝ってもらわんと続けられんかも」と自ら腰をさする。
田村さんと40年以上親交があるという市内の高橋恵子さん(72)は「私の娘も遊ばせてもらった。なんの見返りもなく、ずっと続けてきた田村さんには感謝しかない。ぜひ続けてほしい」と話している。
(参考:北海道新聞ニュースレター)
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