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木彫り熊が最初に造られたのは、今から100年前の八雲町。その歴史を訪ねた。
木彫り熊とともに100年 発祥の八雲を訪ねて
八雲発祥の木彫り熊は今年、第1号誕生から100年を迎える。八雲を訪ね、熊にまつわる場所を巡ってきた。
第1号とモデルに見入る 木彫り熊資料館
八雲を訪れた熊好きが必ず立ち寄るのは、八雲町木彫り熊資料館(末広町154)だろう。
北海道第1号の木彫り熊とモデルとなったスイス製熊2頭は町指定文化財となっており、並んで展示されている。学芸員の大谷茂之さん(38)によると、目の部分は、スイスはガラス玉、八雲はくぎを使っているそう。約10センチほどの手のひらに載るサイズながら、微妙な表情の違いに見入ってしまう。
展示室には八雲で作られ続けてきた木彫り熊などが並び、各作家の作風をじっくり眺めることができる。柴崎重行さんが手斧(ておの)で割った面彫りの熊は「抽象的で、熊をテーマにした芸術性の高い作品」として特に人気だ。
一方で、町民限定の木彫り熊講座は、今年も春から始まる。近年は女性の参加が多いといい、大谷さんは「副業として始まったことに回帰するのでは。研さんが心の豊かさにつながれば」と、彫り続けることの大切さを感じている。
100周年に合わせ、同館は、木彫り熊を鑑賞するトークイベントを5月から9月ごろまで毎月実施する予定。
司法書士・行政書士の青沼千鶴さん(44)は「木彫り熊にひかれて八雲に来てくれた人に、立ち寄ってもらえる場があれば」と事務所の隣の部屋を使い、2021年に同店を開いた。
仕事柄、空き家が気になり、活用することで地域の課題が解消できないか模索していた青沼さん。「八雲の唯一無二とは」と考えた時、空き家に残されていた木彫り熊が目に入った。
ちょうど東京の「東京903(くまさん)会」が八雲の木彫り熊に注目し、魅力を発信し始めていたころ。自身もスイスを旅し、「木彫りのまち」を打ち出したまちづくりに心を動かされた。「まずは一人で小さく始めてみよう」という思いだった。
同店では、町内の店にある熊をめぐる熊彫御朱印マップを制作、配布している。熊を置く協力店が増えてきたこともあり、5月までに第3弾も企画中。平日午前9時~午後5時、土日祝日は午後1~4時。時間外も受け付ける。
(参考:北海道新聞ニュースレター)
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