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「雪板」道内で人気じわり
胆振管内白老町で2月中旬、新雪の上を、波乗りのように大人たちが雪板で滑っていた。うまく乗れても、すぐに転んでも「イエーイ」と盛り上がる。初めて乗った札幌市の会社員(38)は「難しいけどそこが面白い」と笑顔を見せた。
雪板は一般的に、長さ90~145センチ、幅25~30センチの合板製。足を固定せず、エッジもないため、乗りこなすには絶妙なバランス感覚が必要だ。事故防止のために板と脚はコードでつなぐ。スノーボードに比べ、用具が簡素でコストが低いこともあり、道内ではこの5年ほどで、愛好者が急激に増えつつあるという。
札幌市中央区でサーフィンショップを開く三浦尚二さん(56)は7年前に千葉市から故郷・札幌へ戻り、店を開いた際、雪板の制作を始めた。現在は「加伊(かい)」のブランド名で販売しており、「上級者も初級者も一緒に遊べるのも雪板の良さ」と話す。
スキー場以外で滑れるのも人気の理由だ。白老町内のキャンプ場では雪山の中心部分をおわん形に削って専用のコースを造った。集まった子どもたちは高さ80センチほどの雪山の縁から、勢いよく斜面を滑っていた。札幌市西区小学生は「これなら庭でも遊べそう」と熱中していた。
空知管内由仁町の観光施設内で2月中旬に同町内で初めて開かれた雪板作りのワークショップには、町内外の5人が参加。町内のゴム製造会社に勤める藤田信吾さん(41)が講師を務めた。藤田さんは、自ら開発した滑りにくいゴム板の新たな活用法として3年前に雪板の制作を始め、表面に張って足の滑り止めとして利用している。
参加者はベニヤ板4枚を貼り合わせ、両端を反らせた板を電動のこぎりで成形。やすりをかけ、ニスを塗って仕上げた。父親と参加した由仁小の生徒は「放課後に校庭の雪山で試したい」と話した。
「雪板」の発案者でプロスノーボーダーの五明(ごみょう)淳さん(43)=長野市=は、サーフィンのように足を板に固定せずにパウダースノーを滑ってみたいと思い、2006年に無垢(むく)材を削って「雪板」を作り、その魅力に気付いたという。
長い斜面を必要としないため、五明さんは「親子が目の届く同じ場所で遊べるし、閉鎖されたリフトのないスキー場でも十分楽しめる。将来は雪国の遊びとして定着してほしい」と期待した。
(参考:北海道新聞ニュース電子版)
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