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なまらあちこち北海道|グリスロ好評・函館市

北海道

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グリスロって何? 函館? 何があったの?

坂道スイスイ 「グリスロ」好評 函館市の実証

愛すべきグリスロ

入舟町の細い路地の坂道を上っていくグリスロ

入舟町の細い路地の坂道を上っていくグリスロ

 

8月29日午後、入舟町ルートを走るグリスロが、両側を住宅に囲まれた細い路地を縫うように走って行きます。
「ごめんね、横を通らせてね」
運転手の中野崎公子さん(65)が、路地に寝転がる野良ネコに声をかけます。路地を抜けると、視界が開けました。海が広がり、遠くには秀峰駒ケ岳も見えます。
「えーこんなにいい所があるの」
同乗者から歓声が上がりました。

乗車していた同市本通の40代の会社員中村愛美さんは
「車がなく、普段の移動手段は自転車やバス。今日はカフェと祖父母のお墓参りにいくつもり。こんなに楽にここまで来られてとても便利」
と話し、船見町の日本茶カフェ「ティーショップ夕日」の前で降りました。入舟町ルートは地元住民のちょっとした観光コースになっており、満席になることが多かったそうです。

入舟町の細い路地を抜けると、絶景が広がった=いずれも8月29日

入舟町の細い路地を抜けると、絶景が広がった

 

終盤に利用増加

同じ日の午後、大町コースの出発点となるツルハドラッグ函館大町店前では、運転手を含めて7人が乗り満席になりました。いずれも同店で買い物をした地元住民が自宅近くまで乗車するということでした。
スーパーの店員で船見町の津久井奈緒美さん(59)は「家が坂の上にあるのでとても助かってる。普段は電車とタクシーを乗り継ぐ。実証運行の後も有料でいいから続けてほしい」と話していました。

観光で函館を訪れた旭川市の浅野雅代さん(55)は
「音も静かで、ゆっくりと景色を眺められる。坂道が多くて、景色のいい函館にはぴったり」
と満足そうに話していました。

市によると、8月24日までの乗車人数は約500人。1日当たり約25人が利用したとのことです。

1便に2人ほどが乗った計算ですが、25日以降は市民の認知度も上がり、利用は増加傾向にあり、最終的な集計では増える可能性が高いという見方です。末広町コースは観光客の利用が多く、大町、函館どつく前コースの利用は大半が地元住民との結果も出ています。

市交通政策課は「予想よりも市民に好評でした」と話しています。市は利用客にアンケートを実施しており、今後集計して、将来的に市内でグリスロを導入するかどうかの可能性を探ることにしています。

運賃設定が課題

課題の一つは採算面です。一度に乗車できる人数が限られており、採算を合わせるには、運賃はタクシーほど高くはありませんが、バスほど安価にはできないとのこと。その運賃設定でどの程度の利用が見込めるかは未知数です。加えて、市内にはバス、市電もあり、タクシーも人口の割に過剰供給気味ということですので、行政としては民業の圧迫につながらないかも気になるところのようです。

低速の車両が車やバスの通行の妨げにならないかという懸念もありましたが、ほぼ毎日グリスロを運転したという中野崎さんは
「期間中、トラブルはなかった。市民の認知度が高まるにつれ、グリスロに配慮して運転してくれる車が増えた。定着すれば問題ないのでは」
と語っていました。(徳永仁)

グリーンスローモビリティ

略称グリスロ。時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービスです。環境への負荷が少なく、狭い路地も通行が可能な点が特徴であり、地域交通の課題解決と脱炭素社会の確立を同時に実現できる新たなモビリティとして期待されています。

国土交通省によると、3月末時点で、全国119カ所で走行実績があるとのことです。

西部地区での実証運行

ゴルフカートにも使われる7人乗りの電動車両(最速19キロ、全長3・9メートル、車幅1・3メートル)を使い、運転はタクシー会社に委託して実施されました。

曜日ごとに末広町(木、土、日曜)、大町(月、水曜)、函館どつく前(火、金曜)の3コースを運行し、いずれのコースも1周2~3キロ。1周30分程度で走りました。

午前9時半~午後4時の間に1日13便。3コースに加え、大町、函館どつくコースの13便のうち3便は入舟漁港、外国人墓地などの近くを通る入舟町ルートになりました。

いずれも乗車無料で、停留所はなく、好きな所で乗り降りしました。9月10日からは縄文文化交流センターと大船遺跡をつなぐなど、南茅部地区での実証運行が始まる予定です。

新たな交通手段として期待が持てそうですね。

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monoka


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