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なまらあちこち北海道|昼は自然が学び舎、日高高校の挑戦・日高町

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定時制高校でも、3年で卒業できる、しかも自然相手の「産業学習」をすることによって、自然の偉大さ、楽しさなどを学習できる。さらには全国に門戸を開いて、受け入れるという実践を行っているのが、日高高校です。

昼は大自然が学舎 定時制・日高高の挑戦 町がスキー授業 生徒呼ぶ

町教委が行う産業学習で、沙流川でのラフティングを体験する日高高の生徒たち=5月8日(日高町教委提供)
町教委が行う産業学習で、沙流川のラフティングを体験する日高高の生徒たち
日高町
 日勝峠のふもとの日高管内日高町の体育館で今月5日、スキー靴を履いた町立日高高の生徒12人が、バランスボールの上で平衡を保とうと必死にこらえていました。「重心を低くして左右にブレないように」。スキー指導で講師を務める町教委職員の声が響いていました。

全校で川下り

 学校から10キロほどの場所を流れる沙流川では5月、全校生徒27人がラフティングに挑戦しました。ガイドに従ってボートを操り、自然の豊かさとスピード感に歓声を上げていました。
 いずれも日高高が目玉とアピールする「産業学習」の授業の光景です。
 1949年に、道立静内農業高(現静内高)の普通科夜間定時制の分校として村立で開校し、52年に独立し62年に町立に移管しました。生徒は60年代に100人を超えましたが、86年には22人まで減少したのです。
 「大自然に囲まれた地域の利点を生かし、スキーや登山に興味がある生徒を全国から募る」。地域唯一の高校の危機に当時の占部一誠町長(故人)が思いついたうたい文句です。独自のカリキュラムで生徒を募る手法は全国でも例を見ない奇策でした。
 産業学習は90年にスキーの1クラスから始まりました。進学や就職に特化したクラスを設けた時期もありましたが、2020年に現在のスキー、写真探求、アウトドア探求の3クラスとなりました。
 スキークラスの生徒は町営日高国際スキー場で町教委職員から指導を受け、全日本スキー連盟の検定1級合格を目指すコースです。写真クラスでは道内在住の写真家が指導し、日高の自然を被写体に技術を磨き、アウトドア探求は身近な大自然をフィールドに、プロのガイドからキャンプの火おこしやロープワークなどを学ぶ内容となっています。

3年で卒業に

 生徒は日中の4時間、各クラスで専門技術を学ぶほか、全校生徒が参加するラフティングなどの体験学習を行います。午後5時半から9時は、学校で高校の英語や国語などの授業を受けるのです。
 夜間定時制は卒業まで4年かかりますが、町は進路選択の幅を広げるため3年での卒業を道教委に要望、道教委は13年間の実績を評価し、産業学習の成績を卒業に必要な単位に充てることを認め、03年度から3年で卒業できるようになりました。
 今は道外から18人、道内は町内3人を含む9人の計27人が在籍しています。千葉市出身でスキークラス2年の猪膝(いのひざ)真紀さん(17)は「年中鍛えることができる環境が魅力。将来は体育教師やトレーナーを目指します」と語っています。
 産業学習導入から33年間で449人が入学し330人が巣立ちました。スキー指導者やアウトドア会社経営など、日高での学びを生かして若者が羽ばたいています。
(参考:北海道新聞ニュースエディター)
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