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なまらあちこち北海道|被害や感染症を防ぐ性教育、幼児期から・札幌市の実践

健康

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性教育の難しさは、長年の課題となっていますが、最近はそれでも少しずつその必要性が叫ばれ、親や学校もその実践に向かっていくようになりました。札幌市のNPO団体は、幼児期からの実践を示しています。

性教育、成長に合わせて 幼児期から日常の中で 被害や感染症防ぐ

 

 子どもへ、どのように性に関することを教えたら良いのでしょうか。構えてしまったり、何となく気恥ずかしさを感じたりする保護者も多いですね。幼い子どもには水着で隠れる「プライベートゾーン」を守るよう伝える意識は浸透してきたものの、年齢が上がるにつれて知ってもらいたい性の事柄も幅広くなります。いつ、何を、どのように伝えるべきか。年齢に応じた性教育について、専門家に聞きました。

 

 助産師らでつくる札幌市のNPO団体「ピーチハウス」は2004年から、科学的な視点から性について考える性教育講座「からだの科学」を開いています。メンバーの佐藤千鶴さん(48)は「性教育は、子どもが性の加害者にも被害者にもならないために重要なこと」と強調します。
乳幼児を持つ保護者や小学校低学年向けなど、年齢や立場に応じたプログラムを用意し、「誰にでも当てはまるものではないけれど、良いと思うところを取り入れてほしい」との思いで活動を続けています。

 

 佐藤さんが特に重要視するのが幼児期です。先入観を持たずに聞いてくれるというこの時期、入浴の際に性器の洗い方を教え、子どもが1人で立てるようになる2歳半~3歳ころには、性器も頭やおなかと同じ体の一部だとし、自分で洗えるよう促すと良いといいます。「ペニス」や「ワギナ」など性器の名称と働きも説明します。幼いころから正確な知識を身につけてもらうことで、自分の体を正しく理解し、清潔に保つなど健康にもつながるとしています。

 

 働きについては、たとえば「精巣は成長ホルモンというジュースをつくるところ。ペニスが固くなるのは大人になる体操」など、子どもでも理解しやすい言葉に置き換えて話します。プライベートな部分を守ることと、相手の部分を見たり、触ったりしないことを教えるのも重要なことです。

 

 個人差はありますが、小学校の低学年で月経が始まる子どももいます。その前には、月経の仕組みや夢精の基本的な知識などを教えた方が望ましいと指摘します。生理用品の使い方も、実際に示しながら教えるとわかりやすいということです。
高学年になると、胸の膨らみなど体の変化に戸惑うケースもあります。思春期の成長によるもので、自分だけではないと理解できれば子どもも安心します。

 

 反抗期に入ると、保護者の話に耳を貸さなくなってきます。佐藤さんは「性教育の漫画形式の書籍など読んでもらいたい本をトイレに置いておく」など、子どもが1人になる時間に手に取ってもらえるような工夫を提案しています。さらに「インターネットで手軽に情報を入手できるけれど、正しいものばかりではないことも知ってほしい」と呼びかけもします。

 

 ピーチハウスのホームページでは、おすすめの書籍やサイトなどを紹介しています。佐藤さんは「性教育というと、大人はすぐにセックスに結びつけがち。でも、性被害や性感染症の予防など子どもの安全と健康につながるもので、小さいころから日常の中で伝えていくことが大切だ」と話しています。

 

男女の体の相違点「伝えている」16%

 厚生労働省は、就学前の子どもを持つ保護者向けに性に関するアンケートを実施しています。男女の体の違いについて保護者から子どもに伝える必要があると感じている保護者の割合は全体の30・7%に上っていますが、実際に会話をしているのは16・6%にとどまっています。

 

 2021年度の「子ども・子育て支援推進調査研究事業」の一環。3~6歳の未就学児を持つ全国の20~49歳を対象にインターネットで実施し、2215人が回答しました。医師ら専門家の監修のもと、調査の結果や対応方法をまとめた手引き「乳幼児期の性に関する情報提供」を作成しています。

 

 男女の体の違いについて手引きでは、子どもが自分の体を知ることは大切だとし、「違うところも、同じところもあるよ」など共通点や相違点を伝えることを提案しました。

 

子どもの言動で困ったことがあるとの回答のうち、35・6%と最多だった「自慰行為」は幼児期の自然な行為とし、「責めないで『清潔な手で1人でいるときだけ触ろう』と伝える」などの対応を示しています。

 

 性自認や性的指向に関する質問への対応では、おもちゃや服装選びで固定観念にとらわれず、好きなものや興味のあることを選択できることが望ましいと指摘しています。

 

(北海道新聞 道新先生)

 

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