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なまらあちこち北海道|どうなる百年記念塔のモニュメント、最終公募作品を公開・札幌市

北海道

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百年記念塔が取り壊されて随分になりますが、そのモニュメントがどうなるかはまだ決定されていません。現状の報告です。

どうなる百年記念塔モニュメント デザイン今月にも決定 選考手法に批判も

 9月下旬、厚別区の道立野幌森林公園を訪れると、半世紀にわたり地域の「ランドマーク」としてそびえ立っていた高さ100メートルの記念塔の本体部分は姿を消し、基礎の鉄筋コンクリートだけが残っていました。
塔の周りを散歩していた札幌市厚別区の男性(81)は「週に4~5回来るので、解体される様子は毎回写真に撮っていた。家族で来た思い出もあるので寂しい」と残念がっていました。
解体前の百年記念塔=2022年3月

解体前の百年記念塔=2022年3月

 道は2018年、老朽化に伴い安全面の不安が増していることと、維持費がかさむことを理由に解体を決め、今年1月に取り壊しに着手。本体の解体は8月上旬に終え、来年5月までに地中の基礎部分を取り除き、更地にすることになっています。
百年記念塔の跡地。現在は地中から基礎部分を取り除く作業が行われている=9月27日(本社ヘリから、中村祐子撮影)

百年記念塔の跡地。現在は地中から基礎部分を取り除く作業が行われている

 解体工事と並行して進めるのが、塔の跡地に来年以降に設置するモニュメントのデザイン選考です。道は大学の名誉教授や美術評論家、美術館館長らで構成する有識者懇談会を発足させ、昨年12月末から今年3月上旬にかけて道内外からデザインを公募しました。
 「先人への感謝と畏敬の念を表すとともに、多様性を認め合い、未来につながる北海道を象徴するもの」が主なコンセプト。高さ、幅、奥行きともに10メートル以内で、耐久性に優れているなどの条件を満たせば材質は自由です。記念塔の解体材も希望すれば使用できます。
 応募総数は22件。「北海道命名100年」の記念事業として大々的に行われた1967年の記念塔設計コンペで、設計者に選ばれた井口健さん(故人)や、国際的建築家の黒川紀章さん(同)らから299件の応募があったのと比べると、注目度は低いのは確かです。
 懇談会は4月と7月の1次選考で記念塔の継承性や独自性、実現可能性などを審査し、最終候補に6案を選びました。道はデザインに道民の意見を反映させるためとして、6案の中から好きな作品を一つ選んでもらう投票を8月に1カ月間実施。各案のデザイン画を公開しました。
最終候補①「彼方への想い~EnYui」=道のHPより

最終候補①「彼方への想い~EnYui」=道のHPより

最終候補②「参加型@私が主役HOKKAIDO」=同

最終候補②「参加型@私が主役HOKKAIDO」=同

最終候補③「遙かなる轍、そして未来へ」=同

最終候補③「遙かなる轍、そして未来へ」=同

最終候補④「Plate(of 100 meters arc)」=同

最終候補④「Plate(of 100 meters arc)」=同

最終候補⑤「みんなの地層とみんなの自然」=同

最終候補⑤「みんなの地層とみんなの自然」=同

最終候補⑥「100 for eternity /百年の永遠」=同

最終候補⑥「100 for eternity /百年の永遠」=同

 道によると、投票はあくまで審査の参考という位置付けで、各案の獲得票数は「選考
に影響がある」との理由でデザイン決定後まで発表しないということです。

 製作費や維持費は審査項目としておらず、具体的な費用はデザイン決定後に固めるとしています。出品に当たってはコスト面の制約は課していない建前です。
 一方で、公募当初から費用や安全性を理由にデザインを変更する可能性があるとしており、道は6案に絞り込んだ後、出品者に対して「どのくらいの予算を想定しているか」と聞き取りをしたといいます。こうした道の動きについて、道議会の一部から「道が予算などの面で都合の良い案に決めようとしているのではないか」といぶかる声が出ています。
 10月2日の道議会予算特別委員会。自民党・道民会議の道見泰憲氏(札幌市北区)は、モニュメント選考に関する道の姿勢を取り上げました。「疑惑の余地を残すものは選考とは言えない。道は寸法や材質、予算など道民と議会が必要とする子細な情報を公開すべきで、ゴールポストを動かすような選考は容認できない」と追及しています。
道は「予算についてはデザイン決定後に検討していく」などと答弁し、やりとりはかみ合いませんでした。
 記念塔を巡っては、北海道開拓の過程でアイヌ民族が強いられた同化政策や、差別の象徴との批判的な見方があり、かねて解体を求める声があったのも事実です。一方で建築物としての評価も高く、住民有志が道を相手取り解体差し止めを求める訴訟も起こしています(一、二審で原告敗訴)。

 原告団の海堂拓己事務局長は、モニュメント選考について「水面下の議論になっている印象を受ける。維持費を理由に記念塔を解体したならば、モニュメントにかかる費用を公開すべきだ」と強調しています。

 懇談会は今月中にも最終審査を行い、デザインを決める予定で、審査結果は道が後日発表する段取りです。跡地周辺はバーベキューエリアや噴水なども整備する計画といい、道は「家族や仲間と楽しむことができるにぎわいのある空間を創出する」(文化振興課)としています。
百年記念塔は野幌森林公園の正面ゲートに近い場所に立っていた。跡地の周辺は散歩を楽しむ人も多い(伊丹恒撮影)

百年記念塔は野幌森林公園の正面ゲートに近い場所に立っていた。
跡地の周辺は散歩を楽しむ人も多い(伊丹恒撮影)

 道民はどう見ているのでしょうか。
江別市の主婦(74)は「新しいモニュメントは子どもが触ったり、登ったりして遊べるものがいい。家族連れや若い人が集まって、活気のある場所になれば」と、誰もが親しみやすい場所になることを期待していました。
 札幌市厚別区の主婦(71)は「モニュメントが設置されるのは知らなかった。進捗(しんちょく)状況が気になるので、情報を広く発信してほしい」と、道の広報のあり方に注文をつけています。
 北海道の象徴として建設され、さまざまな観点から論争の的になってきた百年記念塔。道は、塔の歴史や評価を解体後も後世に伝えるとともに、跡地の整備で道民の分断を助長しないよう、透明性の高い議論を行うことが求められています。
(参考:北海道新聞デジタル発)

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