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なまらあちこち北海道|心地よい音。道産トドマツのスピーカー・留辺蘂

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その音「気持ちいいです」札幌のホテルが全室に

普通の人は音響機器で好みの音が出るスピーカーを設置する、なんてことはあまりしませんね。私もそうです。ですが、音にこだわる人は気に入った音を探し求めるものなのですね。

留辺蘂木工のトドマツ材で製造された「『森の音』・北海道産トドマツスピーカー」=札幌市中央区のホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」(中川明紀撮影)

留辺蘂木工のトドマツ材で製造された『森の音』

厚さ2・5センチの音響機器

 木製スピーカーの名前は「『森の音』・北海道産トドマツスピーカー」。幅44センチ、高さ66・5センチ、奥行き16・5センチで、重さは6キロほどです。

音を共鳴させる板部分の厚さは2・5センチ。表面の色はトドマツ特有の白さが目を引きます。三重県在住の木工デザイナー横浜金平さん(70)が留辺蘂木工のトドマツ材を使って製造を手掛け、県内の地域商社「ネーブル・ジャパン」が販売しました。

横浜金平さんが作ったトドマツスピーカー

横浜金平さんが作ったトドマツスピーカー

 

トドマツスピーカー裏側の構造

トドマツスピーカー裏側の構造

 

音は「柔らかく気持ちよい」

トドマツの集成材の表面を波状に加工し、板全体が共鳴して室内全体に音を届ける仕組みです。

東京都交響楽団の協賛パートナーを担う都内の音響設計企業「浪花千葉音響計画」は「柔らかくて気持ちよい、澄んだ音が再現できます」と評価しています。このスピーカーは、優れた木製品をたたえる一般社団法人日本ウッドデザイン協会の「ウッドデザイン賞2021」も受賞しました。

ウッドデザイン賞2021の額を持つ留辺蘂木工の野尻拓己社長

ウッドデザイン賞2021の額を持つ留辺蘂木工の野尻拓己社長

 

「その土地らしさ」で採用

2021年10月、札幌市中央区に開業したホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」の運営会社で三菱地所グループの「ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ」(東京)が、ホテルの外壁や客室、家具などに北海道産木材を多用することで「その土地らしい過ごし方をしてもらおう」という狙いで取り入れました。

同リゾーツの施設商品企画部マネジャー大庭健吾さん(32)は、ホテル建設に当たり「バイオリンなどが木材でできていることを考えても木と音の親和性は高いです。手で触れてもらえれば『木のホテル』と実感してもらえます」と、北海道内で最も多く植えられているトドマツを使ったスピーカーを発案したとのことです。

大庭さんは、東京都内で見た横浜さんらの作品に魅了されたのがきっかけで、トドマツ材のスピーカー作りを横浜さんに相談しました。その後、横浜さんとつながりのあった留辺蘂木工がトドマツの集成材を提供することになったそうです。

「ネーブル・ジャパン」は横浜さんの作品を以前から販売するつながりから、今回のスピーカー販売に関わりました。

道内一の森林蓄積量

北海道によると、2021年4月1日現在で道内のトドマツの森林蓄積量(樹木の幹の体積を合計した数値)は約2億4300万立方メートル。樹種別ではトップで、エゾマツの約4・6倍、カラマツ類の約2・7倍に相当します。これはトドマツが1960~70年代半ばまで、将来の建築材として盛んに植林されたためです。

トドマツ材の品質を見定める野尻社長(茂忠信撮影)

トドマツ材の品質を見定める野尻社長

 

ただ、建築材としての利用は限られています。
北海道木材産業協同組合連合会の内田敏博副会長によると、トドマツは北海道固有の樹種のため道外ではスギやヒノキと比べるとなじみが薄い。さらに部分的に含水率にムラがあり、乾いた部分とそうではない部分で収縮率に差が出てくるため、乾燥させると割れが生じやすい特徴があります。

そのため住宅の基礎部分になるコンクリートの型枠などとして使われることが多いそうです。ただ今回の特注スピーカー製造について、北海道内の林業関係者は「道産木材の普及につながれば」と歓迎しています。

職人技によって開発されたトドマツスピーカー

職人技によって開発されたトドマツスピーカー

 

割れやすさを克服した「ものづくり屋」の技

野尻社長は「自社の乾燥技術が評価され、ものづくり屋として誇りです。『木のまち・留辺蘂』やトドマツ材をPRできます」と胸を張り、横浜さんも「地域の木材資源を生かし、ローカル経済の発展を後押しできればうれしいです」と話しています。

スピーカーは1台16万5千円。今回はホテルへの納入分も合わせて180台製造し、「ネーブル・ジャパン」の通販サイトで販売しています。需要があれば増産も可能といいます。

自分で買うのはちょっと、という気がしますが、一度聴いてみたいものですね。

問い合わせは同社、電話0598・67・7649へ。

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