この記事を読むのに必要な時間は約 1 分34 秒です。
鈴木章教授の弟経営「スズキ」、5月31日で閉店
胆振管内むかわ町出身で、2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章・北大名誉教授(91)の弟、譲さん(88)が営む商店「スズキ」(同町花園)が5月31日、70年の歴史に幕を下ろしました。
お兄さんの進学のため、自身は中卒で商人となったのです。病気で経営維持を断念した譲さんは「『章さんの受賞は譲さんのおかげ』と言ってくれる知人もいます。商売人として、おもしろい人生でした」と晴れやかな顔で最終日を迎えました。
「私だけではお兄ちゃんの学費が稼げない。商売やらないかい」。開業のきっかけは鵡川中時代、女手一つで6人を育てた母の一言でした。大学進学を望んでいた章さんを支えるため、次男の譲さんは中学卒業後に酒屋や魚屋で働き、19歳で青果や菓子を売る「スズキ」を開きました。
開店当初、客入りはまばらで、「商店が所狭しと並んだ時代。特徴がないと苦しかった」と振り返りました。
転機は1975年。知人の勧めで町内業者からシシャモを仕入れ始めると、特産品をつくる「一村一品運動」の波に乗り、数年で全国から注目を集めるようになりました。明治神宮(東京)の秋の例大祭に昨年まで41年連続でシシャモを奉納し、鵡川ししゃものブランド浸透に貢献を果たしました。
2000年からは、かつおだしが効いた甘口の「鰹醤油(かつおしょうゆ)」を大分県の業者から仕入れて販売をはじめたところ、「刺し身にぴったり」と口コミが広がり、章さんのノーベル賞受賞で「ノーベルしょうゆ」と話題を呼びました。
昨年に腎臓病を患い、医師から週3回の透析を告げられました。後継者はおらず、「ショックだったが、店を手伝う家族にこれ以上、苦労をかけられない。閉め時かな」と決意したとのことです。
年中無休で店を構え続けた70年間について、譲さんは「本当に楽しかった。悔いはありません」と語っていました。
鰹醤油は町内のたい焼き屋「いっぷく堂」が販売を続けています。
(参考:北海道新聞電子版)
【スポンサーリンク】
コメント