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なまらあちこち北海道|冬にもサケ産卵・千歳川の秘密

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サケの遡上と産卵は秋だというのが私たちの概念ですが、実はこの真冬の時期もサケは産卵をし、場所によっては親と稚魚が一緒に泳いでいるという言います。

冬にもサケ産卵 千歳川のヒミツ

北海道の川にサケが帰ってくるのは、だいたい秋。でも千歳川では、真冬でもサケが産卵しています。さらに、その親サケのいる川で、同時にサケ稚魚も観察できる期間があります。いったいどういうことなのでしょうか。

正月三が日にサケの「じゅうたん」

年明け直後の千歳川は、最低気温が-10度以下まで冷えます。川の流れは、日中でも水温2度。特別な装備をして、水中にカメラをいれると、川底一面にサケたちが泳いでいました。

川底を掘るメスのサケや、メスをめぐってオス同士が噛みつきあう姿。千歳川では、冬もサケの産卵シーズンが続いているんです。

冬でもサケの産卵が続いているワケは

冬の千歳川の河岸を観察すると、冬でもサケが産卵できるワケがわかります。
まわりは雪に覆われているのに、そこだけ雪がない、河岸から注ぎ込む小さな流れをあちこちで見つけることができます。

流れをたどっていくと、斜面と平地との境い目の部分から、こんこんと水が湧き出していました。水温は8度。暖かい地下水が湧き出しているのです。

サケの卵がふ化するためには温度が必要です。千歳川では流れの温度が2度でも、暖かい地下水が湧き出している場所があるので、真冬に産んだ卵でも、夏までに稚魚になって海に向かうことができるのです。

稚魚と親魚の群泳!?

1月から2月にかけての千歳川では、他の川ではみることができない光景があります。それは、サケの親魚が群泳しているすぐわきで、稚魚たちが泳いでいる光景です。

 

北海道の通常の川では、親ザケたちが卵を産むのは秋、稚魚たちが水中に現れるのは春で、同時に観察することはできません。

では、真冬の千歳川ならではの、親魚と稚魚の群泳(卵を産んだ親は死んでしまうので、厳密には親子ではありませんが)とは、どういうことなのでしょう。

千歳川のサケを長年調べてきた研究者に聞きました。

森田健太郎さん(東京大学 大気海洋研究所)
「それは本当に珍しいことだと思います。千歳川のサケの産卵は、早いものは8月、お盆明けくらいから始まって、遅いものは2月くらいまで続きます。なので、いまの時期(1月下旬)は、産卵している親もいるし、早い時期に母サケが産んだ卵から生まれた子供が稚魚になっているという光景です」

森田さんは、湧き水が豊富な千歳川では湧き水の影響を受ける場所と受けない場所があり、多様な環境があることで、同じサケでも、夏に産卵する集団、秋に産卵する集団、冬に産卵する集団と、さまざまな集団が存在できていると教えてくれました。

多様なサケの自然産卵が漁業に貢献する

千歳川では、この親魚と稚魚を撮影した場所から10キロ下流で、8月から12月にかけてウライが設置され、水車でサケを捕獲して、人工ふ化放流などが行われています。

捕獲されたサケには、自然産卵で生まれた野生魚も含まれています。森田さんの研究によると、その割合は、多い年には30%以上に達していました。さらにその年、つまり、人工ふ化放流に使われた野生魚の割合が高かった年の稚魚たちは、4年後に川に帰ってくる率も高くなる傾向があるということです。

 

森田さん
「多様な個体群が存在するといことは、生物多様性にも寄与するし、漁獲量の安定性にも寄与することになると思います」

千歳川のほかにはないの?

千歳川で記録してきた映像を振り返ると、海から帰ってきた親魚を見られるのは8月から2月まで、自然産卵で生まれた稚魚が見られるのは1月から6月までで、サケを記録していないのは7月だけです。

このような「サケの川」は、千歳川だけなのか、どなたか「いや、うちの川でも2月に親魚がいるよ」とか「いや、うちは3月まで」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡をお待ちしています。

(参考:NHK北海道 サケチャンネル)

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