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2024年度のファイターズガールのオーディションが行われ。12人の新しいメンバーが選ばれました。現在残っている12名と合わせて、24人で活動します。新しいメンバーをご紹介します。
新ファイターズガール誕生 倍率24倍のオーディションの舞台裏に迫る
近年、プロ野球チアリーダー界で強い存在感を放っている北海道日本ハムファイターズの公式チアダンスチーム「ファイターズガール」。2022年は「きつねダンス」でNHKの紅白歌合戦に出場し、今年は「ジンギスカンダンス」が注目を集めました。
そんなファイターズガールの24年メンバーを決めるオーディションが、12月17日に行われました。道内外の291人から応募があり、倍率は24・25倍。書類による1次審査を通過した約70人が17日、ダンス、特技、面接と約7時間に及ぶ審査に挑み、最終的に12人が合格しました。
新生ファイターズガール誕生の舞台裏に迫りました。
午前10時30分~開始30分前~
ダンス審査は午前11時からですが、控室に入ると、用意された約70脚のいすはすでに半分近く埋まっていました。受験者は「おはようございます」と一礼しながら入ってきます。いすに座り、周りを見渡して少しざわついている様子…。
■11時10分~2次審査(ダンス)開始~
審査員は、きつねダンスを考案した元メンバーの尾暮(おぐれ)沙織さんら5人です。「失礼します!」と、受験者がスタジオに入ってきます。彼女たちの目の前には、テーブルに並ぶ5人の審査員。部屋の一角には報道陣がずらり…。
1次審査通過後に与えられた課題曲と振り付けを、2~3人1組で位置を入れ替えて2回踊ります。
手拍子から始まり、ダイナミックに手を振る動きから、小刻みなステップ、バレエのようなしなやかな動きも盛り込まれていました。
動画です
午後0時20分~2次審査終了~
1時間10分に及ぶ審査が終了。スタジオを出る時、審査席からは「今回、(選考が)難しいね…」とつぶやく声が聞こえてきました。
予定では合格者発表は午後0時30分から。ですが時間を過ぎても始まりません。受験者は足音が聞こえるたびに、扉のある後方をパッと振り返り、発表を今か今かと待っています。
0時53分~2次審査合格発表~
スタッフが合格者の番号を1人ずつ呼んでいき、34人が残りました。歓声は上がりませんでしたが、合格者同士で笑顔を交わしていました。
合格できなかった人は退室するよう案内されます。道外から来たのでしょうか。スーツケースを引きずり、鼻をすすりながら帰っていく人もいました。短時間でも仲が深まったのか、連絡先を交換し、励まし合っている人もいました。合格者は3次審査に備え、休憩に入ります。
■1時30分~3次審査開始15分前~
昼食を食べ終えた受験者は、3次審査の「自由演技」に備えています。1人1分以内で特技などをアピールするという内容。ダンスやバトントワリングをする人が目立っていました。
1時45分~3次審査開始~
前髪を上げたポニーテールで、グレーのトップスに、赤いレギンス。爽やかな印象の水落桃子さんは入室後すぐ、「床が滑るので、靴を脱いでもよろしいですか」と質問しました。根室管内羅臼町出身の20歳。一卵性双生児の双子の妹で、姉と共にオーディションを受けました。
続けて姉の桜子さんが入室しました。桃子さんと色違いのレギンスで、部屋に入るとすぐ「靴を脱いでも大丈夫ですか」と質問。審査員間でも笑いが起き、強い印象を植え付けました。
ダンス技術の高さで審査員をうならせていた鈴木志織さん。2022年は福岡ソフトバンクホークスの公式ダンスチーム「ハニーズ」で活動し、卒業後は、ダンスレッスンなどでレベルを上げ、このオーディションに挑戦しました。
応募総数291人のうち、106人が道外在住。スタジアムツアーなどがあり「間近でファンを笑顔にできる」点や、「かわいさ、明るさ」が特徴のファイターズガールの特徴を魅力的に感じている人が複数いました。「合格したら北海道に来られますか」「知らない土地でも頑張っていけますか」と覚悟を問われていました。
4時30分ごろ、全員の審査が終わりました。
5時30分~最終合格者発表~
名前を呼ばれた1人の合格者は、実感の湧かない様子で立ち上がりました。徐々に緊張が解けていったのか、泣き出しそうな表情になり、こらえていましたが、我慢できなかったのか、静かに涙を流しました。
水落姉妹は、桃子さんの名前が呼ばれた後、桜子さんが呼ばれ、2人で抱き合って喜びました。
22年までのメンバーで、現在はファイターズガール運営管理担当の浜野亜里紗さんは「今年は書類審査も、その後もレベルの高いダンスや自己PRをしていただいたので、(選考は)すごく難しかったです」と話しました。
12人を選んだ理由は「今シーズンから、グラウンドでのパフォーマンスだけでなくエスコンフィールド北海道のスタジアムツアーも行うことになりました。ダンスだけではなく、お話ししている印象、明るくはきはき話せる子を中心に、さらに爽やかな印象の子も欲しかったので、そのような子たちを選ばせていただきました」。
合格者の1人、駒野稀子(こまの・まこ)さん。宮城県出身ですが「エスコンフィールドにひかれて今年3月に移住してきたばかり」で、今年はエスコンでビールを売っていました。「ビール売りで培ったコミュニケーション能力や、笑顔と愛嬌(あいきょう)は誰にも負けないので、ファイターズガールの笑顔と愛嬌担当で頑張れたらうれしいです」と意気込みました。
現在の12人に新たな12人が加わり、24人の新ファイターズガールとして活動していきます。
■取材後記
初のオーディション取材では、二つの大きな驚きがありました。一つ目は、彼女たちのダンス技術の高さです。ファイターズガールは普段、お客さんが一緒に踊れるように楽しく、そして彼女たちのかわいさを引き出すような振り付けを踊ります。ですがそれは、基礎となるダンス技術の高さがあってこそ。キレのあるジャズダンスを審査で披露する受験者は強烈な印象でした。
二つ目、ファイターズガールになることを「夢・目標」と語る受験者です。ファイターズガールには「きつねダンス」という目玉があり、日本ハムの公式YouTubeのダンス動画は、再生回数が600万回を超えています。他球団と比べても、頭一つ抜けて目立っているように思います。パフォーマンス時は、ファンが一緒に踊って楽しんでいる姿を見ることができ、新球場ではファンと交流できるスタジアムツアーもあります。やりがいは大きそうで、彼女たちが憧れる理由も分かります。
ファイターズガールの審査は非公開で、そのドラマをうかがい知ることはできませんし、公開することが必ずしも良いとは限りません。ですが、見えないながらもファイターズガールの一人一人はそれぞれの理由を抱えて道内外から集まってきていました。その背景を想像しながらパフォーマンスを見ると、違った印象になりそうです。そして球場で一緒に踊って楽しみ、盛り上げることは、彼女たちの一番の応援になるはずです。
(参考:北海道新聞 Dセレクト)
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