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なまらあちこち北海道|プロランナー川口優輝さん、北海道マラソンを語る

スポーツ

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「公務員ランナー」として各種のマラソン大会に参加し、数多くの栄光を手にしてきた
川内優輝さんが、プロのランナーとなった自分を育ててくれた北海道マラソンについての想いを語ってくれました。

プロランナー 川内優輝さん 北海道マラソンを語る

川内優輝さん略歴

東京都世田谷区出身。埼玉・春日部東高、学習院大卒。箱根駅伝には関東学連選抜で2度出場。大学卒業後、埼玉県庁に入り、「公務員ランナー」として活動。
2012年北海道マラソン優勝。14年アジア大会(韓国・仁川)銅メダル、18年ボストンマラソン優勝。世界選手権には4度出場し、17年ロンドン大会9位。19年、あいおいニッセイ同和損害保険と所属契約し、プロランナーに転身した。フルマラソンの自己ベストは2時間7分27秒(21年・びわ湖毎日)。
今年10月に東京で行う24年パリ五輪代表選考会「マラソングランドチャピオンシップ(MGC)」の出場権も獲得済み。36歳。

 北海道以外の地域では、私の市民ランナー時代と同じになるんですが、週末を利用して涼しいところで走ると良いです。

平日はどうしても仕事があって、暑いところで走らざるを得ないので、関東で言えば週末、(栃木県の)日光に私はよく行っていました。車で1、2時間、旅行も兼ねて。標高があり、涼しい場所で走ると違いますね。

とにかく、ある程度の質をいかにして確保するかですね。たぶんゆっくりだったら、給水したり休んだり、時間さえ取れれば暑くてもできると思うんですよね。でもやっぱり強度の高い、マラソンのための練習となると、やっぱり涼しいところやレースを使わないと難しいと思います。

 レースは強度が上がります。周りに競る選手がいるし、競る選手がいなくても(沿道から)応援してくれて、給水もやってくれます。
 1人で走る場合、ドリンクを道路に置きますが、夏ですと段々温かくなってしまいますから。それが、レースでは冷たい給水があり、ゴールすれば記録も残りますし、メダルももらえてうれしい気持ちになります。
 せっかく北海道にはいっぱいいいレースがありますし、単純に楽しいですから。
調整する川内優輝選手=5月2日、埼玉県和光市(玉田順一撮影)

調整する川内優輝選手

 私は今、年間10本ほどフルマラソンを走っています。それも、初めて狙って勝った北海道マラソンがあったからこそです。その時は2週間後のシドニーマラソンに出場して、海外マラソンで初優勝しました。これが失敗していたら、今のようなスケジュールは組まなかったと思います。年間10本の片りんが見えたのが2012年ごろでしたね。
 実業団の選手は、最近は年間3、4本でしょうか。そうなると夏場に1本走っておこうとなりますね。夏場の練習の延長線上で、夏マラソンはどんなものか走ってみようという選手は増えています。
 本当のエリート選手はレースを絞ればいいと思うんですけど、そうではなく、挑戦して、挑戦して強くなる私のようなタイプは、やっぱり夏のマラソンを1回経験しておくのは大事ですね。
 本当にオリンピックだ、世界選手権だと言っているのであれば、やんなきゃいけないと思いますよね、1回は。名もなき選手のうちはプレッシャーもないわけですから。
北海道マラソンについて話す川内優輝選手=5月2日、埼玉県和光市(玉田順一撮影)

北海道マラソンについて話す川内優輝選手

 若手は伸び伸びと走れますよね。それに、北海道マラソンはペースがちょっとゆるめなので、スピード練習がそこまでできていなくても粘りで何とかなります。
 逆に言えば、1キロ3分や2分55秒のペースだときつくても、北海道マラソンの3分5~10秒だと走れる選手がいます。大学生も、箱根駅伝のスピードには対応できないけど、マラソンのペースには対応できる選手が必ずいるので挑戦してほしいですね。
 夏場は北海道で合宿をしている大学も多いと思うので、どうせ合宿の最後に40キロ走をやるんだったら、総仕上げとして北海道マラソンに出ちゃえと思いますね。
 2019年にプロに転身しましたが、競技面では自己ベストの更新を目標にしています。マラソンでは(2時間)7分台を出せたので、次は6分、5分と。あとはいろんなレースで優勝や表彰台、8番以内などを狙っていきます。
(4月の)ロンドンマラソンまで、フルマラソンは125回完走しました。そのうち2時間20分を切る「サブ20」が113回ですね。ギネス(世界記録の認定証)を100回でもらったので、次は150回で申請しますよ、切りの良いところで。
マラソンで2時間20分以内を通算100度達成したことがギネス世界記録に認定され、認定証を受け取った川内優輝選手(左)=2021年3月、東京都渋谷区(代表撮影)

マラソンで2時間20分以内を通算100度達成したことがギネス世界記録に認定され、
認定証を受け取った川内優輝選手(左)

 一方で、プロとなり、「マラソンキャラバン」として、日本全国で講演活動やイベント参加を行っています。箱根駅伝から世界大会まで出場した経験を踏まえ、走る楽しさを伝える普及活動を、自分自身の競技と並行してやっていきたいなと思っています。
 引退してからだとあんまり伝わらないんですよね。例えばイベントで小学生と一緒に走ると、私のことを「速い!」と見てくれて。そこから話をするとストンと聞いてくれるので、現役選手が普及活動をする意味があると思います。競技を頑張ることは変わっていませんので、北海道は今年、函館と稚内、釧路(のレース)に行きます。
 「コロナ前」以上に大会に出られるうれしさ、感謝の気持ちが強まりました。それまで大会は当たり前のようにありましたが、(コロナ下で)ほとんどなくなり、多くのランナーが目標としていた大会がなくなりました。特に、北海道マラソンに関しては、道内のランナーが「道マラ」「道マラ」と親しんで、目標にしています。
 やっぱり目標があるから普段の仕事も頑張れますし、人生に張りが出るので、そうした意味でやっぱり北海道マラソンが戻って来た、よしまた練習を頑張るぞという人は相当多いと思います。大げさかもしれないですが、生きる目標が戻って来たと。
 大会で広い道を走れるから、自分の記録に挑戦できるから、みんなと交流できるから、だから楽しいんだという人はやっぱりこの数年間、すごい苦しい思いをしていましたから。
北海道マラソンの魅力について話す川内優輝選手=5月2日、埼玉県和光市(玉田順一撮影)

北海道マラソンの魅力について話す川内優輝選手

 たぶん今年の喜びは、去年を上回ると思うんです。その理由としては、ほとんどのランナーが走ることプラス、終わった後の打ち上げを楽しみにしているからです。去年の段階では、マラソンが終わってから打ち上げでビールを飲むなんてまだ駄目だよという人が多かったですし、大会としても感染対策を呼び掛けていたと思います。
 本当の意味での北海道マラソンはおそらく今年戻ってくるので、きっとこのまま(コロナが)収まってくれば、たぶん大通公園周辺でビールを飲む人たちがいっぱい出てくると思います。北海道は美味しいものが多いので、絶対に楽しいですよ、去年以上に。
(参考:北海道新聞ニュースエディター)

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