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なまらあちこち北海道|日本航空北海道の女子バスケは何故強い?

スポーツ

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いま、北海道の高校女子バスケットが話題になっています。今春創部した「日本航空北海道」が強豪の山の手高校を破り、全国大会での活躍が期待されています。

高校女子バスケの日本航空北海道 今春創部で全国16強 なぜ強い?

全国高校選手権道予選を戦う日本航空北海道(紺色のユニホーム)の選手たち=11月、小樽市総合体育館(伊丹恒撮影)

全国高校選手権道予選を戦う日本航空北海道(紺色のユニホーム)の選手たち

 11月、1、2年生だけが出場できる札幌地区秋季新人大会。4月の創部からわず
か7カ月の日本航空北海道が、予選リーグと決勝で全国屈指の強豪・札幌山の手から
白星を挙げ、道内バスケットボール界に衝撃が走りました。

 決勝は最終第4クオーター開始時点で、日本航空北海道は10点差を付けられていました。そこから持ち前の粘りと、攻撃的なスタイルを貫いて逆転。90―88で接戦を制しました。チーム最多27得点を挙げた庵原(いはら)有紗選手は「みんなで努力してきたから絶対に負けたくなかった。ディフェンスからのオフェンスへの切り替えを意識し、勝ち切れてよかった」と喜んでいました。

 札幌山の手は2010年にインターハイ、国体、全国高校選抜優勝大会(現・全国高校選手権)の「3冠」を達成した強豪校です。

北海道開催だった今夏のインターハイも3位に入りました。全道高校大会(6月、北見市)と全国高校選手権道予選(11月、小樽市)は優勝。日本航空北海道はこの両大会で2位となり、全国切符をつかみましたが、札幌山の手にはいずれも敗れていました。

そんな道内女王に競り勝った姿に、道バスケットボール協会U18部会長の森岡英生さんは「1年生だけでここまで活躍できるチームは全国的にもないのでは」と、うなっています。
全国高校選手権道予選でプレーする日本航空北海道のカマラ選手=11月、小樽市総合体育館(伊丹恒撮影)

全国高校選手権道予選でプレーする日本航空北海道のカマラ選手

全道高校大会の札幌山の手戦でリバウンドを競り合う日本航空北海道の庵原選手(中央)=6月、道立北見体育センター(茂忠信撮影)

全道高校大会の札幌山の手戦でリバウンドを競り合う日本航空北海道の庵原選手(中央)

 支えるのは圧倒的な攻撃力です。マリ共和国からの留学生で身長187センチのカマラ・ファトゥマタ選手と、ドイツ人の父と日本人の母をもち、ドイツU15代表を経験した180センチの庵原選手が軸となり、ゴールを量産する形です。
加えて、運動量が豊富な小柄な選手が周りを固め、ボール運びやパスの配給などを担う「ポイントガード」の役割をこなします。アウトサイドからのシュートや、ドライブでインサイドに切れ込んで得点を奪うこともできますし、中心となる長身選手2人を自在に生かし、攻撃の幅を大きく広げているのが特徴です。

 

全国高校選手権道予選で、札幌山の手の選手の前に立ちはだかる日本航空北海道のカマラ選手(左)と庵原選手(中央)=11月、小樽市総合体育館(伊丹恒撮影)

全国高校選手権道予選で、札幌山の手の選手の前に立ちはだかる
日本航空北海道のカマラ選手(左)と庵原選手(中央)

 攻撃的な試合内容はデータでも表れており、日本航空北海道が今年行った公式戦20試合の1試合平均得点は89.0点。平均失点の67.7点を20点超上回っています。
インターハイは1回戦で足羽(福井)を75―72で、2回戦で山形中央を91―70でそれぞれ破りました。8強を懸けた3回戦で、千葉経大付に70-89で敗れましたが、森岡さんは
「(カマラと庵原の)『ツインタワー』を攻め崩すのは容易ではない。また、長身の留学生と対戦することに多くの高校が慣れていないことも大きい。他校が切磋琢磨(せっさたくま)できれば、北海道全体のレベルアップにつながる」
と期待しています。
自校体育館での練習で、矢倉監督(右端)の指導を真剣な表情で聞く日本航空北海道の選手たち=12月7日、千歳市内(畠中直樹撮影)

自校体育館での練習で、矢倉監督(右端)の指導を真剣な表情で聞く日本航空北海道の選手たち

 率いるのは、名古屋市内の市立高5校で37年間の指導経験がある矢倉直親監督(61)。日本航空北海道に教員として採用された昨年4月以降、1年間かけて選手のスカウトに奔走しました。
知人のつてをたどり、道内を中心に東海地方や関東、関西などに足を運びました。中学校やクラブチームの監督にあいさつ回りし、練習や試合を数多く視察。バスケットの能力はもちろん、試合の見学に訪れた保護者らと話し合い、選手の個性をじっくり見極めたということです。学校側の協力もあり、自ら勧誘した道内外出身の1年生15人が入部しました。
 ですが、航空従事者養成を主とする同校がなぜバスケットボールに力を入れ始めたのでしょうか。
全国高校選手権道予選を戦う日本航空北海道の選手たち=11月、小樽市総合体育館(伊丹恒撮影)

全国高校選手権道予選を戦う日本航空北海道の選手たち

 学校関係者によると、同校を運営する日本航空学園(山梨)は、航空業界で必要とされるコミュニケーション能力やチームワークの向上などを目的に、生徒のスポーツ活動を積極的に後押ししているといいます。優秀な指導者を招き、寮生活で選手を育成するノウハウも持っています。
自校体育館で練習する日本航空北海道の選手たち=12月7日、千歳市内(畠中直樹撮影)

自校体育館で練習する日本航空北海道の選手たち

 このため、学校側の支援は手厚くなっています。練習場所の体育館は、フロアやゴールのボードを創部に合わせて新調しています。部室も作り、トレーニングジムも完備すしています。製氷機やウォータークーラーなども用意され「要望したものは、ほぼそろえてもらった」(矢倉監督)ということです。

 

 また、選手全員が生活する寮と体育館、食堂は近接しており、競技に集中できる環境にあるのも強みです。
食堂では管理栄養士が監修するメニューが1日3食提供され、大会や試合の際には弁当が用意されます。矢倉監督は「練習環境の良さは抜群。学校は部活動に理解があり、バックアップは非常に大きい」と感謝を述べています。
練習する日本航空北海道の西川主将(中央)=12月7日、千歳市内(畠中直樹撮影)

練習する日本航空北海道の西川主将(中央)

 監督のほか、コーチ2人、体のケアやリハビリをサポートする理学療法士のトレーナーが選手を支えます。全員が閲覧できるオンラインのグーグルドライブを使い、選手と監督が書き込んだ反省点などを可視化して即時に共有し、過去の試合やスタッツ(個人やチームのデータ)も選手が見ることができます。

 神奈川県出身の西川葵主将は「自分で理解してトレーニングができている。足りないところを補うことができる自主練習の時間があるのも大きい。周りの方々の気遣いやサポートがあり、バスケットができている」と強調していました。
 今月23日には全国高校選手権が東京で開幕。日本航空北海道は同日、1回戦で下妻第一(茨城)と対戦します。勝ち進めば3回戦で昨年覇者の京都精華学園と当たる可能性があります。8強以上を目指す矢倉監督は「どこまでやれるか試してみたい」。今の1年生が3年生となる2年後の日本一を見据え、試金石の大会にする考えのようです。

 

頑張れ、日本航空北海道!

(参考:北海道新聞デジタル発)

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