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高齢動物への配慮 体調を見極め環境改善
この記事は新野雅大さん=魚類飼育課によるものです
当館では、2007年にドイツの動物園からやってきたコツメカワウソの「カオル」を飼育しています。私が初めてカオルに関わった時の印象は「元気すぎてうるさい」でした。餌が欲しいときに近くにいるとギャーギャーと騒ぎ続け、長靴をかんできたりしました。そして餌を一瞬で平らげた後はすぐに寝て、起きたらまた騒ぎ始め、手をやいたものです。
カオルは今年で15歳になりました。コツメカワウソとしては高齢です。相変わらず餌が欲しい時は鳴いてアピールしますが、若いころの勢いはありません。
流木を追加したカワウソ水槽
年を重ねて一番変わってしまったのは歩き方です。昔のようなキビキビした歩き方ではなく、後ろ足を引きずるような動きをするようになりました。高齢になったことで、今までなかった関節炎の症状が現れたのです。
「このままではいけない!」と話し合い、状態に合わせた対応をすることにしました。まず、足腰への負担を軽減するため、滑りやすい通路には板を設置し、はしごは間隔を短くして登りやすいようにしました。そして水上に多少揺れるようにつるした流木を設置しました。運動量を増やし、さらに体幹を鍛える狙いです。これらの対応によってカオルの関節炎の症状は徐々に改善され、動きがよくなっていったのです。
飼育施設内の環境改善はカワウソ水槽以外でも行っていますが、何か一つを改善して終わりではありません。それは生き物にとってより良い環境作りの始まりなのです。
自然からの使者である飼育動物たちに最期の瞬間まで生き生きと過ごしてもらうため、これからも尽力していきます。
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