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なまらあちこち北海道|サクラマスの活〆をブランド化・江差

グルメ

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鮮度を保つ〆方

北海道、道南ににある江差町内の漁師さんが、水揚げしたサクラマスを船上で「神経抜き」という特殊な処理を行って付加価値を高める取り組みを進めています。


  (早朝の定置網起こし)

「神経抜き」を施すと、鮮度が落ちにくく、臭みもなくなるという特長があります。

この方法を「船上活〆」と名付けてブランド化しており、一手間を加えることで、何もしないマスより3割ほど高く取引されるようにもなりました。

ブランド名を指名して仕入れる町内外の飲食店が現れるなど、販路拡大にもつながっており、漁師さんたちも喜んでいます。


(サクラマス)

江差沖約200メートルに、漁師さんたちが海中に仕掛けた定置網を次々と引き上げると、勢いよく跳びはねるサクラマスが続々と揚がって来ます。

海水で血を洗い流したサクラマスの頭をたたいて仮死状態にした後、針で頭に穴をあけ、その穴から背骨にワイヤを入れて神経を取り出していくと、死後硬直を防ぎ、鮮度を保てるのです。

作業に使う道具は、漁師さんたちが使いやすいように考えて自作したものを使います。

「普通の神経抜きは1回入れただけで終わるんだけど、2回やるとさらに良いんだ。手間はかかるけどね」と語っていました。

 


(ワイヤーを使って船上活〆)

神経抜きは技術が必要な上、通常は1時間で終わる漁が作業を行えば3時間近くもかかり、敬遠する漁師さんは多いのですが、2回の神経抜きにより、さばいた後も日持ちするようになる利点がやはり大きいとも言います。

江差の漁獲量は年々、減少しています。また、江差のサクラマスは身が厚い特長がありますが、輸送時間がかかるため、これまでは市場関係者から鮮度が悪いと見られがちでした。

神経抜きは、こうしたマスに付加価値を付けることで安定した収入源にしようと、江差の漁師有志が檜山振興局の協力で2017年から始めた挑戦なのです。

 

「船上活〆」というブランドも立ち上げ、差別化を図っています。町内では現在、2船が神経抜きに取り組んでいます。

技術が向上するにつれ、市場での評価も上昇しており、時期にもよりますが、鮮度が保たれたことで函館の市場で1キロ3500円前後で取引されることもあるそうです。

手間をかけていないものと比べて、3割ほど価格が上がったということです。


(船上活〆のブランド)

はこだて自由市場内にある高野鮮魚店の話では4月、江差を訪れて漁を視察したところ、船上で丁寧に作業する漁師さんたちの姿を見て驚いたということです。

「漁を見て、お客さまに江差のサクラマスの良さをより伝えたいと思った」
と語っています。

神経抜きしたサクラマスは品質の良さが評価され、東京の中華料理店や町内の飲食店が買い付けるなど、「指名買い」する飲食店が増え始めました。

漁師さんたち「自分たちの努力が評価されるのはうれしい」と手応えを感じています。

他の漁師さんたちの意識も変わりつつあります。これまでは、水揚げ後の箱詰め作業を漁協職員に任せがちでしたが、今は自ら作業を行い、最後まで責任を持って魚を届ける意識が芽生え始めておるということです。

「魚を扱う人たちの考えを知り、意見交換を大切にしたい。手を加えるだけでなく、良い商品をどう知ってもらうかも考えなければならない」と話しています。

活〆したものは、鮮度低下を抑えながら良好な熟成が進むとされ、高級料理店からの注文も多いそうです。


(居酒屋さんで人気のサクラマス

檜山振興局は「手間のかかる漁を継続するのは簡単ではない。ほかの江差の魚にも価値を付けてほしい。来期が勝負になる」

と期待しています。

(参考:江差漁組HP、八雲町漁組HP、STVニュース、北海道新聞電子版)
 

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