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なまらあちこち北海道|北海道でも二ホンウナギ生息、将来的に道産ウナギに

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え、北海道産のウナギ? これは期待しますね。シラスウナギの生息地はまだ謎に包まれていますからね。そんなシラスウナギが道内の河川で捕獲されたという情報です。

暖流が稚魚運ぶ 食べられるまで成長する?<デジタル発>

 北海道内には分布していないとされてきたニホンウナギが近年、北海道南西部の河川で相次いで見つかっているということです。
 ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」や体長20センチの幼魚など複数の河川で捕獲され、川の水に溶けたふんなどに含まれる遺伝子から存在を確かめる「環境DNA」の分析でも生息が確認されています。
 将来的に道産ウナギが食べられるような日もくるのか。調査した専門家に可能性を聞きました。
美唄市のホワイトデータセンターで実験的に養殖されたニホンウナギ(舘山国敏撮影)

美唄市のホワイトデータセンターで実験的に養殖されたニホンウナギ

 「シラスウナギが捕れたのは偶然でした」。東大大気海洋研究所の森田健太郎教授(48)はこう話しています。2020年5月、サ家ケの稚魚を捕まえるため、北海道南西部の太平洋側の川で夜間に調査捕獲を行ったところ、網に体長6センチほどのシラスウナギが16匹匹捕れました。

 翌21年の調査でもシラスウナギ9匹と20センチに成長した幼魚が捕獲できたことから、森田教授は「天然ウナギが道内で増えているのは確かだとし、これが温暖化など環境変化によるものなのか詳しく調べたい」と話しています。

 北大と共同で捕獲調査を続けた結果、いくつかの河川で捕獲に成功しており、広く分布している可能性があるということです。

 ニホンウナギが道内で自然に生息していたかどうか、実ははっきりしていません。1950~60年代までは、道内でウナギの養殖・放流が行われ、成魚の漁獲記録は道内各地に残っています。

森田教授の論文によると、日本統治時代の1917年にロシア・サハリン(樺太)南部で捕れたという記録もあります。ただ、環境省が2016年に発表したニホンウナギの自然分布域に道内は含まれておらず、過去にシラスウナギが捕獲された記録も道内にはなかったという話です。

北海道南西部の川で捕獲されたシラスウナギ(ウナギの稚魚)=2020年5月(森田教授提供)

北海道南西部の川で捕獲されたシラスウナギ(ウナギの稚魚)

 かば焼きなどとして人気が高いウナギは、乱獲で資源量が激減しています。

2021年の国内供給量約6万3千トンのうち、67%を輸入が占めており、国内での養殖は32%の2万600トンで、漁獲量は過去去最低の63トンでした。捕獲して養殖に用いる稚魚のシラスウナギの捕獲量も2022年で10・3トンでした。環境省は2013年、、ニホンウナギを近い将来に絶滅する危険性が高い「絶滅危惧1B類」に指定しています。国際自然保護連合(IUCN)も翌201114年にニホンウナギをレッドリストに載せました。

 保護が急がれるニホンウナギですが、その生態は分かっていないことが多いのが現状です。水産庁によると、ニホンウナギが日本から2500キロ離れた太平洋のマリアナ諸島付近で産卵していることを特定できたのは1991年のこと。

 卵や稚魚は、暖流の黒潮に乗って北上し、日本を含めた東アジア各地の河川を遡上(そじょう)して成長するということは解明されています。10年ほど川で過ごした後、再び海に戻って産卵すしますが、親魚の回遊ルートなどは謎に包まれたままです。

 ただ、この黒潮の日本沿岸の流れと、国内の生息域が一致していることが、最新の調査で分かってきています。北大水産科学研究院の笠井亮秀教授(57)=海洋環境学=は、2017~20年にかけて全国の主要な265河川の365地点で環境DNAを調査。それによると、約半数の181地点でニホンウナギが生息していました。

分布は太平洋側の黒潮が流れ込む関東以西が中心で、瀬戸内海、九州西岸に多く、日本海側は対馬暖流がぶつかる能登半島以西に多かったことが報告されています。太平洋側は仙台以北、日本海側は能登半島以北にはほとんど生息していませんでした。

 北海道内では、石狩川など34河川の58地点で調査しましたが、確認できたのは苫小牧市の勇払川のみでした。

笠井教授は、日本海側を北上した対馬暖流が津軽海峡を抜けて太平洋側に流れ込んだ後、時計回りに渦を描いてぶつかるのが胆振管内の太平洋側だとし「稚魚はその流れに乗ってきた可能性が高い」と分析しています。

 2021年2月、笠井教授が産卵場所から日本沿岸で稚魚が運ばれるシミュレーションを行ったところ、稚魚が流される場所の予測結果と環境DNAによる分布域とがほぼ一致し、海流による稚魚の輸送状況が、国内の分布を決める主要因になっていると結論付けました。

 ただ、稚魚にとって、北海道の河川は本州と比べるとまだ適地とは言えないようです。勇払川の水に含まれたニホンウナギのDNAの断片の1リットルあたりの濃度は、最も多かった安久川(和歌山県)と比べると250分の1程度でした。
 道内の河川は冬に結氷するほど冷え込むため、25度前後を好むウナギが成育するには冷たく、笠井教授は「本州と比べ生息適地とは言いがたい」と話しています。
美唄市のホワイトデータセンター内の水槽を泳ぐ養殖ウナギ

美唄市のホワイトデータセンター内の水槽を泳ぐ養殖ウナギ

 ウナギの資源量を回復させるにはどうしたらよいのかだろうか。笠井教授はシラスウナギの漁獲を減らすべきだと訴えています。河川環環境が改善した結果、全国の約半分の河川に生息していることが分かりましたが「生息密度は濃いとはいえず、成長して産卵する個体を増増やすためにもシラスウナギの保護が重要」と話しています。

養殖ウナギを見つめる本間弘達社長

養殖ウナギを見つめる本間弘達社長

 一方、かつて道内でも行われていたウナギの養殖事業に乗り出すIT企業も出始めました。雪によるデータサーバー冷却事業を美唄市でで行っているホワイトデータセンターは22年からウナギ養殖の実験を始めました。

 サーバーを冷やすために水を使っており、サーバーの熱で温まった温水を養殖に使う。半年ほどウナギを育て、5センチから出荷サイ図ズの70センチまで大きくする計画です。2023年度にも水産庁にウナギ養殖業の許可を申請し、数千匹から養殖事業に参入したい考えだということです。

 鹿児島産の稚魚を使う予定ですが、本間弘達(こうた)社長(54)は「資源が回復し、道内で稚魚がたくさんとれるようになったら、100%道産の養殖ウナギを提供したい」と夢を語っています。

(参考:北海道新聞ニュースレター)

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