この記事を読むのに必要な時間は約 4 分47 秒です。
え、北海道産のウナギ? これは期待しますね。シラスウナギの生息地はまだ謎に包まれていますからね。そんなシラスウナギが道内の河川で捕獲されたという情報です。
暖流が稚魚運ぶ 食べられるまで成長する?<デジタル発>
北大と共同で捕獲調査を続けた結果、いくつかの河川で捕獲に成功しており、広く分布している可能性があるということです。
ニホンウナギが道内で自然に生息していたかどうか、実ははっきりしていません。1950~60年代までは、道内でウナギの養殖・放流が行われ、成魚の漁獲記録は道内各地に残っています。
森田教授の論文によると、日本統治時代の1917年にロシア・サハリン(樺太)南部で捕れたという記録もあります。ただ、環境省が2016年に発表したニホンウナギの自然分布域に道内は含まれておらず、過去にシラスウナギが捕獲された記録も道内にはなかったという話です。
2021年の国内供給量約6万3千トンのうち、67%を輸入が占めており、国内での養殖は32%の2万600トンで、漁獲量は過去去最低の63トンでした。捕獲して養殖に用いる稚魚のシラスウナギの捕獲量も2022年で10・3トンでした。環境省は2013年、、ニホンウナギを近い将来に絶滅する危険性が高い「絶滅危惧1B類」に指定しています。国際自然保護連合(IUCN)も翌201114年にニホンウナギをレッドリストに載せました。
卵や稚魚は、暖流の黒潮に乗って北上し、日本を含めた東アジア各地の河川を遡上(そじょう)して成長するということは解明されています。10年ほど川で過ごした後、再び海に戻って産卵すしますが、親魚の回遊ルートなどは謎に包まれたままです。
ただ、この黒潮の日本沿岸の流れと、国内の生息域が一致していることが、最新の調査で分かってきています。北大水産科学研究院の笠井亮秀教授(57)=海洋環境学=は、2017~20年にかけて全国の主要な265河川の365地点で環境DNAを調査。それによると、約半数の181地点でニホンウナギが生息していました。
分布は太平洋側の黒潮が流れ込む関東以西が中心で、瀬戸内海、九州西岸に多く、日本海側は対馬暖流がぶつかる能登半島以西に多かったことが報告されています。太平洋側は仙台以北、日本海側は能登半島以北にはほとんど生息していませんでした。
北海道内では、石狩川など34河川の58地点で調査しましたが、確認できたのは苫小牧市の勇払川のみでした。
笠井教授は、日本海側を北上した対馬暖流が津軽海峡を抜けて太平洋側に流れ込んだ後、時計回りに渦を描いてぶつかるのが胆振管内の太平洋側だとし「稚魚はその流れに乗ってきた可能性が高い」と分析しています。
2021年2月、笠井教授が産卵場所から日本沿岸で稚魚が運ばれるシミュレーションを行ったところ、稚魚が流される場所の予測結果と環境DNAによる分布域とがほぼ一致し、海流による稚魚の輸送状況が、国内の分布を決める主要因になっていると結論付けました。
コメント 感想やご意見をお願いします