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なまらあちこち北海道|鹿肉と相性の良い美酒

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新風 北の美酒 シカ肉との相性に可能性

<新風 北の美酒>第4部・文化を創る(4) シカ肉との相性に可能性

北一ミートによるオール道産テリーヌの試作。手前は通常の商品=5月6日、札幌市東区(小室泰規撮影)

札幌市東区にある食肉加工卸道内大手「北一ミート」の工場で5月上旬、同社のシェフがエゾシカのひき肉の味付けにキャメルファームワイナリー(後志管内余市町)の赤ワインを注ぎ込みました。「他社が誰もやらない、こだわりの製品ができる」
そう言って同社の田村健一社長(46)が笑顔を見せました。

型に肉や野菜を詰めて蒸し焼きにするフランスの伝統料理テリーヌの試作品です。
シカ肉は牧草と製糖工場から出たビートパルプのみで肥育したオホーツク管内斜里町の知床エゾシカファーム産を使用しています。ベーコンやタマネギといった具材も「オール道産」の新商品として、高級食材を求める道内外の飲食店向けに開発を決めたということです。

付加価値を高め

隠し味に使う輸入ワインの代わりに価格が5倍以上する道産ワインを選ぶのは常識外の選択だと言われています。札幌の百貨店にある同社の直営店で、自社製の生ハムなどとともに販売すれば、従来の商品価格の2倍近い80グラム千円強となります。

田村社長は「安全安心な肉と道産食材の組み合わせだから高い付加価値がつき、エゾシカ肉の普及にも貢献できることになります」と語っています。

シカは狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する「ジビエ」の一つで、主に欧州で古くから食べられてきました。道内では1990年代からエゾシカが急増し、道などが消費拡大策を続けています。低脂質、高タンパクという長所は浸透した半面、「肉が硬い」「においが気になる」という先入観を持つ人、料理の仕方がわからないという人がなお多いのが事実です。新型コロナウイルス禍による外食需要の落ち込みも逆風となっています。

北海道によると、2012年度の捕獲数は14万4千頭だったが、19年度は約4分の3の10万7千頭に減少。これに伴い、農林業被害は20年度、前年度比7%増の40億6800万円となり、5年ぶりに40億円を超えました。道警のまとめでは、21年のエゾシカによる交通事故も約4千件となり、5年連続で過去最高を更新しています。

エゾシカ肉の消費拡大には新しい提案も必要です。根室管内別海町で昨年9月に開業し、狩猟から加工、ネット販売までを1人で手掛ける「ジビエ工房 山びこ」の小林清悟代表(37)もそう考える一人です。

ご当地料理にも

狩猟後1時間で処理した新鮮なハツ(心臓)をネギとポン酢に漬けたハツポンとクラフトビール、内モモのみそ漬けと日本酒などのセットを考案しています。町内の食堂や宿泊施設のご当地メニューに育てていくのが目標なのです。

小林代表は「道内でお酒の造り手がこれだけ増えているのだから、さらにいい組み合わせがあるはずです」と試行錯誤を続けています。

東京にも根室から仕入れたエゾシカ肉の普及に力を入れる店があります。
港区赤坂の居酒屋「ととバルnemuro(ネムロ)」の看板メニューはしゃぶしゃぶやタンのにぎりずしとのことです。
荒井謙二店長(39)は「エゾシカは和洋の料理で使え、道産の日本酒、ワインのどちらにもよく合うんです」と利点を強調しています。

それでも、エゾシカ肉と道産酒で商品をブランド化したり、独自メニューを開発する動きはまだ一部でしかありません。

北海道大学のワイン研究を率いる曽根輝雄教授(53)は
「エゾシカと道産酒という地産地消によって食卓に新たな文化が根付き、健康増進につながるメニューを考える契機にもなるはずです」と語り、経済的な効果だけでなく、道民の暮らしを豊かにする力もあるとみています。

(参考:北海道新聞電子版)

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